2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16500196
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坪井 昭夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20163868)
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Keywords | 神経回路 / 嗅覚系 / 匂い地図 / 嗅覚受容体 / 発現制御 / 発生と再生 / 軸索ガイダンス / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
嗅覚系における初期神経回路の形成は、嗅上皮において、個々の嗅細胞が嗅覚受容体(odorant receptor ; OR)遺伝子群の中から一種類のみを発現すること(one neuron-one receptor)、並びに、嗅球において、同じ種類のORを発現する嗅細胞は、特定の糸球にその軸索を収歛させて投射する(one pair of glomeruli-one receptor)という二つの基本ルールによって支えられている。私はこれ迄、マウス嗅覚系における嗅細胞の一次投射、即ち、嗅球における匂い地図形成の分子機構の解明を目指してきた。本研究の解析から、特定のORを発現する嗅細胞が嗅球に軸策投射する際、その投射位置の背腹軸は、嗅細胞の嗅上皮における位置、即ち、ORが嗅上皮のどの領域で発現するかによって大まかに規定されていることが示された(投稿中)。それでは、嗅球における嗅細胞の投射位置の前後軸は、何によって規定されているのであろうか?本研究では更に、鳥類の視覚系において網膜・視蓋上に濃度勾配を作って投射マップの形成を支えているEph-ephrin系に着目した。これ迄他のグループによってephrin-A3/A5のダブルノックアウトマウスにおいて、特定のORを発現する嗅細胞の嗅球における投射先が、野生型に比べ後方にシフトすることが示された。そこで本研究では、EphやephrinがOR分子と連携して投射位置の決定に関与している可能性を検討する為、これらのシグナル伝達系で機能する因子やその変異体を、Cre-loxPシステムを用いて特定のOR(MOR28)と共に発現させ、その軸索投射を解析した。Eph-Asの下流で機能すると考えられているephexinのdominant-negative変異体をMOR28陽性細胞で発現させたところ、嗅球の外側部において、本来の糸球よりも後方にectopicな投射先が観察された。このことは、Eph分子が嗅細胞の投射に際して、嗅球の前後軸に沿った位置の決定に関与している可能性を示唆するものであるが、ORの"identity"がこの前後軸決定のプロセスにどう反映されているかについては、今後MOR28発現細胞で特異的な遺伝子破壊などにより検討される必要がある。
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Research Products
(2 results)