2004 Fiscal Year Annual Research Report
共培養系を用いた鋤鼻-副嗅球再構築系の確立とニューロン間シナプス形成機構の解析
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16500201
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
村本 和世 高知大学, 医学部, 助手 (10301798)
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Keywords | 共培養 / 鋤鼻系 / Calcium Imaging / シナプス形成 |
Research Abstract |
フェロモンの情報処理に関わる鋤鼻神経系の役割を探究するために、ラットから切り出した副嗅球および鋤鼻器に由来するそれぞれのニューロンの共培養系をin vitroの実験モデル系として開発した。本年度は、共培養条件下で副嗅球-鋤鼻ニューロン間に機能的なシナプスが形成されているかどうかについて検討し、以下のような成果を得た。 1.培養下の鋤鼻ニューロンは、生体の鋤鼻器類似の構造をもつ細胞塊を形成する(鋤鼻細胞塊)。共培養開始後21日目に、双極電極を用いて鋤鼻細胞塊に対して電気刺激を加えた。同時に、カルシウム蛍光指示薬fluo-4を付加した培養副嗅球ニューロンをイメージング法により観察したところ、複数のニューロンで時間的に刺激とよく一致した一過性の細胞内Ca^<2+>上昇が観察された。 2.鋤鼻細胞塊からの軸索束の伸展は共培養7日目で既に観察されるが、上述のCa^<2+>の変化は21日目前後でないと観察されなかった。 3.刺激に対する応答は、グルタミン酸受容体拮抗薬であるCNQXの添加により可逆的に阻害されたが、APVの添加ではほとんど影響を受けなかった。一方、培養副嗅球ニューロンでは、複数のニューロン間で同期して生じる自発的なCa^<2+>振動現象が観察されるが、この振動現象に対しては、CNQX、APVの両者とも抑制効果を示した。 4.以上の結果は、副嗅球ニューロン同士に形成される(自発的Ca^<2+>振動現象を担う)シナプスとは薬理学的に異なるシナプスの存在を示唆し、共培養下において、副嗅球ニューロン同士以外のシナプス要素、すなわち鋤鼻細胞塊から副嗅球ニューロンへの投射が形成されたと考えられた。鋤鼻副嗅球ニューロン間の機能的シナプス結合は、形成に共培養開始から21日目前後必要であることも示唆された。 5.このような共培養系に、フェロモン物質を含有するとされる尿を微小電極から電気泳動的に添加したところ、鋤鼻ニューロン単独の培養では変化は見られなかったが、共培養下では尿への応答と考えられる一過性のCa^<2+>上昇が観察された。この点については次年度さらに検討していく。
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Research Products
(4 results)