2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経幹細胞の栄養因子による神経分化誘導と分化機構の解明による障害脳機能の再建
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16500203
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
飛田 秀樹 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00305525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西野 仁雄 名古屋市立大学, 学長 (60073730)
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Keywords | 胚性幹(ES)細胞 / 神経幹細胞 / cytokine / LIF / 低酸素 / チロシン水酸化酵素 / 神経分化 / wnt5a |
Research Abstract |
胚性幹(ES)細胞由来神経幹細胞からドパミン(DA)ニューロンへの分化は5段階のステップで誘導できる。すなわち、ES細胞の増殖(第一段階)、embryoid bodyの形成期(第2段階)、ネスチン陽性細胞のみの選別(第3段階)、ネスチン陽性神経幹細胞の増殖期(第4段階)、幹細胞から神経への分化(第5段階)である。 神経幹細胞から効率良くチロシン水酸化酵素陽性のDAニューロンへ分化誘導させるため、nestin陽性神経幹細胞に対する低酸素条件およびサイトカインの影響を免疫染色法およびウェスターン法を用いて調べた。その結果、1、低酸素条件ではDAへの分化が1.83倍に促進される、2、DA欠如線条体で発現増加しているサイトカインの混合物(LIF, IL-1β,IL-11,GDNF)の処置によりDA分化が2.16倍に促進すること、3、サイトカイン混合物の中でもLIFの作用が最も大きいこと(1.97倍)、4、サイトカイン混合物および低酸素は相加的に作用しないこと、5、サイトカイン混合物および低酸素は神経幹細胞のBrdU取込みを促進すること、等が明らかになった。これによって、再生過程には発現増加するサイトカインや、正常発生を考慮に入れた低酸素条件が、DAニューロンの分化促進に関与することが明らかになった。 また、中脳DAニューロンの発生に関与するwnt5a遺伝子のクローニング、PA6細胞へのwnt5a遺伝子導入に成功したが、wnt5a遺伝子導入PA6細胞とES細胞および中脳由来神経幹細胞と共培養によってDAニューロン分化が促進されるという結果は得られなかった。実験系の再考が必要と考えられ、現在検討中である。さらに、G1/S期に作用する細胞周期抑制剤の処置による神経分化の促進を報告したが、その分化促進機構の解析に関しては、cdk5およびp27の相互作用、MAPKシグナルの関与を中心に現在検討している。
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Research Products
(4 results)