2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16500210
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
上口 裕之 独立行政法人理化学研究所, 神経成長機構研究チーム, チームリーダー (10233933)
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Keywords | 接着分子 / L1 / 神経 / 軸索 / 成長円錐 / 脂質ラフト / 小脳 / プロテオミクス |
Research Abstract |
神経細胞の細胞膜にはスフィンゴ脂質とコレステロールと特定の蛋白質が集積した界面活性剤難溶性領域(脂質ラフト)が存在し、脂質ラフトは細胞内情報伝達に重要な役割を担うと考えられている。神経接着分子L1は脂質ラフトおよび非ラフト領域の双方に存在し、L1による軸索突起伸長は軸索先端部(成長円錐)のラフトを必要とすることが知られている。そこで、L1による軸索突起伸長の情報伝達系を明らかにする目的で、L1へのリガンド結合により脂質ラフト内外を移動する蛋白質の網羅的解析を行った。L1のホモフィリックリガンドであるL1-Fcキメラとその対照としてFc蛋白を大量に作製・精製し、マウス小脳顆粒細胞培養系に添加した。L1-Fc刺激した培養神経細胞とFc処理した培養神経細胞を、それぞれ生化学的手法により脂質ラフト分画と非ラフト分画に分離し、ディファレンシャル2次元電気泳動により発現する蛋白質の網羅的解析を行った。L1-Fc刺激群・Fc処理群のラフト・非ラフト分画を比較し、L1-Fc刺激によりラフト内外で量比に有意な変動が見られた蛋白質スポットを約40種類ほど同定した。現在、この量比変動の再現性を確認している。また、抗体マイクロアレイ法を用いて、L1-Fc刺激群・Fc処理群のラフト・非ラフト分画に存在する約500種類の抗原をスクリーニングし、L1-Fc刺激によりラフト内外で量比に有意な変動が見られた蛋白質を約20種類ほど同定した。現在、この量比変動の再現性をウェスタンブロットにより確認している。以上の研究を進め、来年度はL1活性化によりラフト内外を移動する情報伝達分子を同定し、その機能的意義の解析を開始する。
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Research Products
(4 results)