2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16500210
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
上口 裕之 独立行政法人理化学研究所, 神経成長機構研究チーム, チームリーダー (10233933)
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Keywords | 接着分子 / L1 / 神経 / 軸索 / 成長円錐 / 脂質ラフト / 小脳 / プロテオミクス |
Research Abstract |
細胞膜の特定脂質が集積した微小領域(脂質ラフト)は、細胞外から細胞内へ情報が伝達される「場」として機能する。神経接着分子L1の軸索伸長活性は、軸索先端部(成長円錐)の脂質ラフトを必要とする(J Cell Biol 159,1097-1108,2002)。本研究課題では、軸索突起伸長過程における脂質ラフト依存性の情報伝達を解明するため、L1'で軸索伸長を刺激した小脳顆粒神経細胞において、脂質ラフト内外を移動する蛋白質を網羅的に同定するプロテオーム解析を行った。抗体マイクロアレイ法では、L1刺激によりラフト内外を移動する候補分子として、神経接着分子L1、ミトコンドリア局在タンパク質DAP3の低分子量型、微小管重合調整に関与するGSK3βやAkt、アクチン線維形成を制御する低分子量G蛋白質(Rac1、Cdc42)やGAP43、Srcファミリー非受容体型チロシンキナーゼなど約20種類の抗原を同定した。現在は、ウェスタンブロット法によりその再現性と定量性の検討を継続している。特にラフト内外での発現量変動の再現性に優れた分子として、munc-18とシナプトフィジンを同定した。いずれの分子も細胞膜のエキソサイトーシス制御に関与し、munc-18はL1刺激によりラフトから解離し、シナプトフィジンはL1刺激によりラフトに集積することが実証された。これらの蛋白質によるエキソサイトーシスの調節は、軸索伸長に必要な成長円錐での形質膜補給に関与するものと考えられるため、今後はその機能的意義についての研究を進めていく。また、2次元電気泳動法を用いたプロテオーム解析のための蛋白質サンプルの可溶化条件を改良し、ラフトと非ラフト領域いずれの分画でも高い再現性で2次元分離が可能となった。
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Research Products
(4 results)