2004 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質第一次視覚野シナプス可塑性におけるセリンプロテアーゼの役割について
Project/Area Number |
16500211
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
俣賀 宣子 独立行政法人理化学研究所, 神経回路発達研究チーム, 専門職研究員 (20209464)
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Keywords | 大脳皮質視覚野 / 錐体細胞 / スパイン / 組織型プラスミノーゲンアクチベーター / グルタミン酸脱炭酸酵素 / ジアゼパム / 細胞外基質 / 単眼遮蔽 |
Research Abstract |
近年、任意の細胞全体を染色する為にゴルジ染色に匹敵する新しい技術としてGene Gunを用いた蛍光色素(DiI,DiOなど)の細胞内取り込み法が開発された.そこでこの技術を応用し、大脳皮質視覚野における興奮性神経細胞(主にII/III層の典型的な錐体細胞)の形態を共焦点レーザー顕微鏡を用いて三次元的に調べた. はじめに、野生型(WT)マウスの両眼性領域(BZ)における発達に伴う形態変化をapical dendrite上の神経突起(スパイン)数を中心に調べた.その結果、はじめに開眼と同時にスパインは出現し、成熟後もスパイン数は増加することがわかった.一方、臨界期内あるいは成熟動物を短期(4日)および長期間(2週間以上)単眼遮蔽すると、臨界期に限り一過性にスパイン数が減少した.そこで、この変化が機能の可塑性(眼優位可塑性)によるものかを検討するために、2つの可塑性低下モデルマウス、組織型プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)とグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD65)における単眼遮蔽効果を解析した.いづれのマウスにおいても短期単眼遮蔽によるスパイン数の減少は認められなかったが、それぞれ眼優位可塑性を誘導できる薬物(外来性tPAあるいはジアゼパム)の投与により、スパインの剪定を回復することができた.これらの結果から、スパインの減少は機能的可塑性に伴った形態変化であることが示唆された.従来より形の変化は短期遮蔽では起こらないと報告されていたが、今回微細構造に注目した結果機能変化と形の変化の時間のずれはないことが明らかとなった.また、機能的可塑性同様、興奮-抑制の至適なバランスとtPAが形態変化を惹起するに必須であることがわかった.我々は、tPAはシナプス周辺部の細胞外基質を限定分解し、不要なシナプスの退縮に関わっているのではないかと考えている.
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Research Products
(2 results)