2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト海馬の形態的発達:高解像度磁気共鳴画像による横断的・縦断的研究
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16500215
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
鈴木 道雄 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (40236013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 康弘 富山大学, 附属病院, 講師 (80242519)
高橋 努 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (60345577)
倉知 正佳 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (80019603)
松井 三枝 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (70209485)
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Keywords | 海馬 / 扁桃体 / 神経発達 / 透明中隔腔 / 視床間橋 / 統合失調症 / 統合失調症圏 / 磁気共鳴画像 |
Research Abstract |
これまでの検討により、思春期健常者においては海馬や扁桃体の体積が増大すること、統合失調症圏障害患者においてはこれらの領域の体積減少が認められ、神経発達早期の障害に由来することが示唆された。そこで今年度は、統合失調症圏障害患者における海馬や扁桃体の体積と、神経発達障害の指標である大脳正中構造の異常との関連について検討した。対象と方法:(1)統合失調症患者154例(男74女80、平均年齢28.0歳)、統合失調型障害患者47例(男29女18、平均年齢25.0歳)および健常者163例(男97女66、平均年齢27.0歳)の三次磁気共鳴画像(MRI)を撮像した。1mm厚の冠状段スライスを用いて、透明中隔腔(CSP)がみられるスライス枚数を計測し、CSPが6mmの場合をlarge CSPとした。関心領域法により測定した内側側頭葉構造(扁桃体、海馬、海馬傍回)体積との関連を検討した。(2)統合失調症患者62例(男32女30、平均年齢25.8歳)と健常者63例(男35女28、平均年齢24.4歳)の三次元MRIから、1mm厚の冠状段スライスを用いて、視床間橋(AI)がみられるスライス枚数を計測した。3枚以上にAIが認められる場合をAIありとし、内側側頭葉構造体積との関連を検討した。結果:(1)CSPの出現頻度、large CSPの出現頻度のいずれにも群間に有意差はなかった。Large CSPを持つ統合失調症圏障害患者では、持たない患者に比較して、両側の扁桃体と左側の海馬傍回の体積が有意に小さかった。(2)統合失調症患者では、AI欠損が健常者より有意に多かった。AIを欠損する統合失調症患者の両側扁桃体体積は、欠損しない患者より有意に小さかった。考察:内側側頭葉の形態変化は、早期の発達障害に関連する、統合失調症への脆弱性のマーカーであることが支持された。
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Research Products
(4 results)