2004 Fiscal Year Annual Research Report
器質的および機能的胃腸症に見られる胃の知覚過敏のメカニズムの解析
Project/Area Number |
16500216
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尾ざき 紀之 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40244371)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 康夫 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50093042)
篠田 雅路 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20362238)
|
Keywords | 内臓痛 / 機能性胃腸症 / イオンチャンネル / 神経成長因子 / 痛覚過敏 / 迷走神経 / 大内臓神経 / 胃 |
Research Abstract |
【目的】痛みや不快感など上部消化器官に起因する症状は上腹部不定愁訴といわれ、原因疾患としては、癌や炎症など原因となる病変があきらかである器質的胃腸症と、器質的病変が明らかでない機能性胃腸症(functional dyspepsia)に分けられる。上腹部不定愁訴には胃の痛覚過敏が関与していると考えられ、本年度は実験的胃潰瘍における痛覚過敏のメカニズムを明らかにすることを目的とした。 【材料と方法】SD系雄性ラットを用いた。胃壁に20%酢酸を注入し、実験的胃潰瘍を作成し、胃壁に分布する神経線維、神経成長因子、知覚神経における神経成長因子の受容体の発現、侵害受容にかかわるイオンチャンネル(TRPV1,TRPV2,ASIC3)の発現を免疫組織学的に調べた。また神経成長因子の中和抗体が痛覚過敏に及ぼす作用について調べた。 【結果】胃潰瘍の組織には神経成長因子が発現し、組織に浸潤した顆粒球に発現していた。また胃潰瘍の周辺の組織でNF200やGAP43陽性神経線維の増加が見られた。胃の知覚神経において、神経成長因子受容体やイオンチャネルの発現細胞数は減少していたが、発現細胞における受容体やイオンチャネルの発現濃度が増加している傾向が見られた。また神経成長因子の中和抗体は、胃潰瘍における痛覚過敏を抑える作用を示した。 【結論】胃潰瘍においては、一部の神経線維の増加、イオンチャンネルの増加が見られ、また、神経成長因子が、胃潰瘍における胃の痛覚過敏の発現に重要な役割を果たしていると考えられた。
|