2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規脳内ペプチドINSL7の神経系における機能解析
Project/Area Number |
16500224
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
田中 雅樹 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (80264753)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 典生 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (00285248)
|
Keywords | INSL7 / relaxin 3 / Nucleus Incertus / Pons / expression / rat |
Research Abstract |
2002年に発見された、insulin super familyに属するINSL7/relaxin-3(以下INSL7と略す)は、脳幹に高発現していることが報告されたが、詳細は不明であった。本研究においてまずINSL7陽性細胞の局在検索をおこなった。INSL7に対する特異抗体を用いて、免疫細胞化学およびin situ hybridization法を行って詳細なINSL7タンパク質および遺伝子の局在部位の同定をおこなった。その結果、INSL7は神経細胞に発現し、細胞体は橋の背側正中部、第4脳室に接するNucleus Incertus (NI)と呼ばれる神経核のニューロンに大部分が発現し、他は橋縫線核、中脳水道周囲灰白質、黒質背側の網様体に少数存在することが明らかとなった。また、そのINSL7陽性神経細胞の軸索投射部位であるが、NIより上行性に中隔野、海馬、外側視床下部、視床下部弓状核、脚間核など、大脳辺縁系を中心とした領域に密な線維終末が観察された。しかし、延髄や脊髄など、下行性の線維投射はみられなかった。さらにINSL7の細胞内局在検索を行ったところ、免疫電子顕微鏡によりINSL7は細胞質に存在するが、粗面小胞体やGolgi装置の付近に多くみとめられ、軸索終末においては前シナプス終末のdense-cored vesicleにINSL7陽性反応産物が観察された。このような所見をまとめると、INSL7は脳においては、神経細胞体で産生されて、軸索輸送されて、神経終末からシナプス間隙へ放出される、つまり神経伝達物質として機能していることが、強く示唆された。これらの成果は論文にまとまり、European Journal Neuroscienceに受理された。また、同様の研究手法を応用して、視床下部視交叉上核における概日リズム研究や後根神経節における疼痛研究の成果を論文発表した。
|
Research Products
(5 results)