Research Abstract |
昨年度準備した,以下のPresenilin1変異を伴う未染色の組織切片,すなわちA79V,S146L,I143T,L166P,S169L,G217D,V261I,V261F,P264L,A431Eに対して一般神経組織検査H&E染色に加えて,神経原線維などの検索にBodian法とBielschowsky変法,アミロイドの検索にthiofalvin-S法,ミエリンの検索にHeidenhain-Woelcke染色が準備された.Aβとtauに対するmonoclonal antibodiesを用いた免疫染色もほぼ終了した.また,コントロールとして,APP遺伝子変異のAD症例3例,Presenilin2変異のAD症例2例,tau遺伝子変異を伴う前頭側頭型痴呆6例,弧発性AD症例の準備もほぼ終了した.対象に関しては,前頭葉,帯状回,側頭葉,頭頂葉,後頭葉,扁桃,海馬,海馬傍回,大脳基底核,視床,小脳,脳幹部が採取され,上記対象,及びコントロールケースのなかからcotton wool plaqueが存在するかどうかを全切片で検討し症例を選択している.cotton wool plaqueはH&Eで明瞭に他の老人斑から判別でき,円形で辺縁境界が明瞭である.多くのPSEN1変異症例でcotton wool plaqueを認めた.特に,cotton wool plaqueは,前大脳皮質に分布するだけではなく,大脳基底核,脳幹にも認めることが明らかとなってきた.さらに,興味深いことは,通常の老人斑の数が極端に少なくなることや,時に神経原線維変化までが少なくなることである.また,V261I変異症例のcotton wool plaqueでは,laser microdissectionを用いることにより,plaqueを構成するアミロイドβのN末端が切り取られたものから構成されていることを明らかにした.また,プリオン病であるGerstmann-Straussler-Sheinker病の一部のPRNP変異症例にもcotton wool plaqueと区別できないプリオン斑を認めることを発見し,あわせて解析中である.現在,最終年度に向け順調に研究は進行している.
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