2004 Fiscal Year Annual Research Report
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16500250
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
渡辺 英治 基礎生物学研究所, 形質転換生物研究施設, 助教授 (30250252)
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Keywords | グリア / ナトリウム / センサー / 恒常性 / チャンネル / 脳室周囲器官 / 遺伝子欠損マウス / 培養細胞 |
Research Abstract |
動物の体液中にあるナトリウムイオンは、濃度が一定になるように恒常的制御がなされている。しかしながら、その体液中濃度を検出しているセンサー機構は永らく不明であった。本研究では、脳に発現しているNaxと呼ばれるナトリウムチャンネルがナトリウムレベルセンサーであることを実証していくことを目的としている。本年度はテトラサイクリン制御下にあるプロモータに組み込んだNaxチャンネルcDNAを定常的に発現することのできる細胞株によって、Naxの活性制御機構を解析した。通常の培養条件ではNaxの発現を誘導し細胞外ナトリウムの濃度を上昇させても、細胞内へのナトリウムイオンの流入は観察することができなかった。そこで、Naxを誘導した細胞に各種刺激をスクリーニングしたところ、エンドセリン刺激によってNaxの活性が観察されることを見いだした。さらに検討を加えた結果、エンドセリンA型受容体の特異的アンタゴニストでは、Naxは活性化されなかったが、B型受容体の特異的アンタゴニストで活性化された。また、エンドセリンB型受容体の特異的プロッカーによって、エンドセリンによるNax活性化は完全にブロックされた。以上の結果から、Naxの活性を維持するためには細胞外からの何らかの特異的な刺激が必要であることが明らかとなった。また、同様の現象はジブチルcAMPの投与によっても起こることから、Naxを活性化するための細胞内シグナルの一つはcAMP系を介していると考えられる。
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