2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規の細胞死抑制遺伝子alivinファミリーの機能の解析
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16500253
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
小野 富男 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (60231239)
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Keywords | 神経細胞死 / アポトーシス / アルツハイマー病 / Alivin / 小脳顆粒細胞 / 神経活動 / ロイシンリッチリピート / 免疫グロブリン |
Research Abstract |
認知活動は認知症の発症率を低減させることが報告されている。我々はこの現象に対応するin vitroモデルとして「初代培養した中枢神経細胞の生存率は神経活動や脱分極剤により著しく昂進するが、神経活動の阻止や非脱分極条件の培養下では低減する」という現象に着目し、認知症の予防や治療の標的となりうる分子を探索した。その結果、新規遺伝子であるalivin 1を見出した。alivin 1は神経活動と細胞内へのCa^<2+>の流入により発現上昇し、神経細胞のアポトーシスを阻止する。Alivin1タンパク質は細胞外にタンパク質間相互作用のモチーフであるロイシンリッチリピートと免疫グロブリンドメインを持つ膜貫通型タンパク質である。このタンパク質の細胞外ドメインは、ショウジョウバエの発生時における背腹軸の決定に関与する分子(Kek1)や哺乳類の神経栄養因子の受容体(Trkファミリー)と相同性を持つことから、alivin 1は情報伝達分子であることが予想される。また、alivin 1にはパラログ(alivin 2,3)が存在し、ファミリーを形成している。また、ヒトalivin 1の遺伝子座はアルツハイマー病(AD)5型がマッピングされている領域内に存在することから、alivin 1はAD5の原因遺伝子の有力な候補であると考えられる。今年度はalivinファミリーの機能を明らかにするために次の項目について研究を行った。 a)alivin 1ノックアウト・マウスの作製 alivin遺伝子ノックアウトのためのターゲティングベクターを作製し、TT2株を用いて組換えES細胞を作製し、キメラマウスを作製した。現在、このキメラマウスを用いノックアウト・マウスの作製を行っている。 b)Alivin1タンパク質と相互作用する分子の同定 Alivin1と相互作用する分子を酵母のtwo hybrid法を用いてスクリーニングした。その結果、EGF様モチーフを持つタンパク質をコードする遺伝子を同定した。この分子及びalivin1の発現ベクターをCOS7細胞で共発現させ、相互作用することを免疫沈降法により確認した。Alivin1がこの分子と相互作用することによりこの分子のシグナル伝達に関与している可能性について解析を進めている。
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