2005 Fiscal Year Annual Research Report
体温維持の不安定な実験動物スンクスにおける熱産生機構に関する研究
Project/Area Number |
16500276
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
織田 銑一 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (60023660)
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Keywords | スンクス / 褐色脂肪組織 / 熱産生 / Ucp-1 / Dio-2 |
Research Abstract |
《目的》 飼育室温度が4℃なるとスンクスではすべて死亡する.7-8℃では死亡することはないが繁殖はストップする.またマウスと同じようにスンクスでも褐色脂肪の肥大化(蔗糖水投与での飼育)が起きれば耐寒性が増大する.スンクスにおいて障害を起こさないスクロース最適濃度をさぐった.また低温暴露時において,熱産生に関与する遺伝子Ucp-1,Dio2,Glut4を褐色脂肪で発現量の検討を行った.また特異的に発現するUcp-1の遺伝子に関してはクローニングを行って検討した. 《方法》 動物はスンクスKATラインの♂,低温暴露としては飼育ケージをメデイカルクーラー庫内にセットし,庫内の温度を7-8℃に設定した.0.3%蔗糖水を長期に飲水させると糖尿病症状がでてくるので,それを発症しない0.1%の至適%を設定しこの条件において褐色脂肪の大きさや熱産生に関与する遺伝子について検討した.Ucp-1のクローニングは褐色脂肪組織からmRNAを抽出し,RT-PCRを行ってcDNAを他種哺乳類のものと比較検討した. 《結果と考察》 蔗糖水投与実験では0,1%濃度が糖尿病症状を示さず,褐色脂肪の肥大化がみられ,耐寒性が増大した.このことからスンクスの低温不耐性の要因の1つは通常の高タンパク質飼料では褐色脂肪の肥大化が起きないためと推定された.また,低温下で不動化あるいは死亡するのは,スンクスにみられる日内休眠状態による低体温にも1つの要因である可能性が推定された.すなわち日内休眠からさめて,体温上昇を引き起こす時に褐色脂肪組織の熱産生機構がうまく働かない場合におきるものと考えられる.Ucp-1は急激に,Dio2とGlut4は徐々に低温暴露において発現量が上昇した.Ucp-1の塩基配列はその機能部位において,通常の哺乳類がもっている配列と1塩基置換がみられ,これも熱産生の悪さに関与が考えられた.
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