2006 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンザル、ヒヒなど国内飼育サル由来ヘルペスウイルスの実験動物における病原性解析
Project/Area Number |
16500278
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大沢 一貴 長崎大学, 先導生命科学研究支援センター, 助教授 (90244756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 浩 長崎大学, 先導生命科学研究支援センター, 教授 (50072947)
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Keywords | Bウイルス / ヒヒヘルペスウイルス / BV / HVP2 |
Research Abstract |
マカカ属のアルファヘルペスウイルスであるBウイルス(BV)は、ヒトに感染すると致死的な脳炎を起こすウイルスとして知られている。このウイルスは、マウスやウサギの実験動物を用いた感染実験においても致死的脳炎を発症させることができる。近年、ヒヒヘルペスウイルス(HVP2)のマウスの感染実験において、病原性のある株(nv)とない株(ap)との存在が報告された。BVのヒトでの病原性と、HVP2のマウスでの病原性との関係について興味深い。BVとHVP2とは近縁のウイルスでありながら、病原性に差異があり、その原因についてウイルス側の因子に注目しつつ研究を進めている。マウスで病原性のあるOU1-76株(nv)および病原性のないOU2-5(ap)のUS領域の遺伝子解析を行い、両者を塩基配列レベルで比較して病原性の差異を探ることとした。 ゲノム断片クローンを精製し、BV用あるいはHVP2用に設計されていたプライマーを用いて、シークエンスを行った。OU1-76株、OU2-5株ともにUS領域全長が解明され(約14,700bp,G+C:75.2%)、US領域には13個のorfが見出され、両者のアミノ酸配列レベルでの相同性が、87%(US4)〜99%(US9)であることが明らかになった。現在、他のウイルス分離株についても同様に検討中である。アカゲザル由来のBVrh(E2490株)とカニクイザル由来のBVcy(E90-136株)とのアミノ酸相同性が70%(US4)〜99%(US6)であるのに比べて概ね高い値となった。免疫担当細胞による感染細胞の処理を回避するのに働くとされるUS12産物のアミノ酸配列は、92%以上の相同性をもっているなど、近縁のウイルス株間に病原性の差異をもたらす責任遺伝子がUS領域に存在する可能性は低いのかもしれない。
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