2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケールアパタイト生体結合膜による人工関節軟骨への高度組織親和性付与
Project/Area Number |
16500308
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
速水 尚 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (20173057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本津 茂樹 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (40157102)
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Keywords | 人工関節軟骨 / ハイドロキシアパタイト / 超薄膜 / 生体親和性 / レーザアブレーション / バイオマテリアル |
Research Abstract |
本研究では,骨の主成分であるハイドロキシアパタイト(HA)を基材に超薄膜被覆できるパルスレーザーアブレーション法(PLD)を利用して,基材である人工関節軟骨とビーズ型人工歯根にHAを被覆しそれらに高度な生体親和性を与える方法を開発した.特に人工関節軟骨として利用するPoly(vinyl)alcohol hydrogel (PVA)は,含水性エラストマーであり,表面親水性が大きい.そのため細胞接着性は極めて悪く人工関節軟骨として利用するとき,その母床である軟骨下骨との組織結合は全く期待できない.一方,人工関節軟骨の関節面は,その潤滑性を保つために生体不活性である必要があり,PVAは好適である.そのため人工関節軟骨の所要の面に選択的に生体親和性を与える技術が必要となる.このためにテンプレートマスクを用いる技術を開発し,PVAの所要箇所に所要の膜厚でHAを被覆できるようにした. 低,中,高の3グレードの含水率,2種類の重合度をもつ計6種類のPVAを作製した.前年度の研究で亀裂進展抵抗が大きかったPVAを用いて,マウス線維芽細胞L929を用いた一般的な細胞増殖実験によってPVAの生体親和性を評価した.HA被覆をしないPVAは人工関節軟骨として使用したとき,骨との接着は不可能であることを確認した.厚さ300nmのHAを被覆したPVA/HAは,PVAの含水率が少ないほど生体親和性が高かった.含水率33%のPVA/HAは,対照群(標準培地を用いたL929が良好に増殖する条件)と有意差が認められない程度の良好な生体親和性を示した.これに他の条件の実験結果も含めて検討し,HA超薄膜被覆は元来生体親和性を持たないPVAに良好な生体親和性をそれが必要な面に選択的に付与できると結論した.すなわち,PVAの所要の面にPLDによるHA被覆を施すことで,人工関節軟骨に骨固定性を与えることができることを示した.
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Research Products
(2 results)