2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16500310
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
伊藤 敦夫 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間福祉医工学研究部門, 主任研究員 (30356480)
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Keywords | アパタイト / リン酸カルシウム / マグネシウム / 骨粗鬆症 / 亜鉛 / 人工骨 / 骨形成 / フッ素 |
Research Abstract |
1.サンプルの供給:16年度に引き続き、共同研究相手先で行われるMg/Zn/F-BCPの溶出実験、骨粗鬆症予防モデル実験、骨粗鬆症治療モデル実験用のサンプルを供給した。 2.Mg/Zn/F-BCPセラミックの作成条件の研究 Mg/Zn/F-BCPを焼結できれば、円盤状Mg/Zn/F-BCPセラミックを使用して細胞培養実験を行うことができる。それにより、当該材料に対する詳細な細胞レベルでの解明研究ができるようになる。さらに、顆粒状にできれば人工骨としても用途が広がる。Fを含有する炭酸アパタイトは焼結の研究例がなく、焼成条件が不明である。そこで、Mg/Zn/F-BCP焼結体を作製する第一段階として、F含有炭酸アパタイトの焼結の研究を行った。出発点はSuwa et al.,(1993)の炭酸アパタイト焼結法とした。6種類のF含有炭酸アパタイト粉末(F:0.48-2.71wt%、CO3:1.32-11.03wt%)15mgを一軸加圧し、φ3、厚さ1mmの円盤状に成型した後、炭酸ガス下(0.5L/min)、700-1000℃の焼結温度範囲で、昇温速度100℃/分の条件で焼結実験を行った。その結果、7-14%の収縮が起こり、焼結体が作成できた。焼成前の粉末のF含有量が高いほど焼結体の密度が高くなった。IRでは炭酸の赤外吸収強度に変化が見られ、いずれの焼結体の炭酸含有量も焼成前の粉末と比べて同等かそれ以上になる傾向があった。ただし、炭酸含有量が7wt%以上の焼結体では、XRDで炭酸カルシウムが確認され、F含有炭酸アパタイトの部分的な分解が示唆された。 3.溶解度積の測定 MgTCPのpKspとMg含有量M(mol%)との問には、pKsp=29.041+0.90467M-0.18069M2+0.025962M3-0.00192M4+0.000055199M5の関係があった。M=0(TCPのpKspに相当)の値は、1年放置後に測定した値(28.69)やGregoryら(1974)による値(28.90)に、ほぼ一致したが、その他の値はVerbeeckらのMgTCPのpKsp値には一致しなかった。Verbeeckらの生データでpKspを計算すると、彼らのpKsp値と1%以内で一致するので、不一致は使用した平衡定数や計算方法の違いに基づくものではない。MgTCPの正しい溶解度積値は本研究の上記5次式で表わせると結論できる。
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Research Products
(5 results)