2005 Fiscal Year Annual Research Report
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16500350
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山野 眞利子 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学部, 助教授 (80192409)
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Keywords | 脳卒中 / 脳卒中自然発症ラット / 実験形態学 / 神経再生阻害物質 / 神経抑制 |
Research Abstract |
リハビリテーション医療にとって脳卒中は大きな課題である。これまで実験的に錐体路障害をおこし,その修復過程に積極的に関与している機構を研究し,障害側の脳の広い範囲でGFAP陽性の反応性アストロサイトが多数出現し,その領域に一致して,神経活動の抑制を明らかにしてきた。事実NGF,BDNF,TGF等のさまざまな内因性神経栄養因子が傷害部やその周囲に増加する。しかしこれらは損傷部の修復や神経再生に働く物質であり,神経細胞の活動抑制には違う物質の関与が考えられる。そこで脳卒中自然発症ラット(SHRSP/Izm)を用い,他の物質の検索をしたところ,脳卒中発症後,神経軸索伸展抑制作用のあるSemaphorin3AやSemaphorin4D,Nogo-Aの出現が認められた。 今年度はこれらの物質の出現と神経活動との関係をより的確にするためSHRSP/Izmラット19週齢を飼育し,脳卒中が発症した2日後から3週間後の動物を用いてZamboni液でかん流固定し,脳を取り出し,クリオスタットで薄切切片を作成した。神経活動のマーカーとしては動物を運動させると細胞核内に出現するc-fos蛋白の発現で検討した。 結果は発症2〜4日は両側大脳皮質の表層の神経細胞の活動が著しく促進された。発症後4〜10日になると異常興奮はなくなり,主に梗塞側の大脳皮質運動野が抑制された。特にSemaphorin3AやSemaphorin4D,Nogo-Aの発現の多い動物では白質浮腫が増大し,健常側皮質も抑制された。このことより発症早期に出現するSemaphorin3AやSemaphorin4D,Nogo-Aが既存の神経細胞の軸索の部分に働き,神経活動を抑制していることが示唆された。現在さらにNogoA等のアンタゴニストを用いて神経活動抑制の軽減を検討している。
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