2004 Fiscal Year Annual Research Report
fMRIによる脳卒中後の運動・言語機能回復機序の解明と臨界期の同定
Project/Area Number |
16500352
|
Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
加藤 宏之 国際医療福祉大学, 保健学部, 教授 (60224531)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 律夫 国際医療福祉大学, 保健学部, 助教授 (50254917)
樋渡 正夫 国際医療福祉大学, 大学院, 教授 (20189898)
|
Keywords | functional MRI / 脳卒中 / 片麻痺 / 機能回復 / 脳機能再構築 |
Research Abstract |
脳卒中後の運動機能障害(片麻痺)の回復の機序を解明するために、functional MRIを用いて片麻痺の回復と脳機能の変化を検討した。対象は軽症ないし中等症の脳卒中患者16名で、一側手運動時のfunctional MRIを、急性期と慢性期に計測した。正常者では、一側手の運動により、対側一次感覚運動野、補足運動野、同側小脳前葉が活性化された。脳卒中患者の健手運動時のfunctional MRIによる活性化脳領域は正常者と同様であった。脳卒中患者の患手運動時の活性化脳領域は、正常者と大きく異なっていた。脳卒中後の片麻痺の回復に伴って見られる活性化脳領域の変動は次の3型に分けられた。1.急性期には、正常者で見られる脳領域の活性化が低下していたが、慢性期に回復する。2.急性期には、正常者で見られるより広範な脳領域が活性化されたが、慢性期には正常化した。3.急性期には、正常者で見られる脳領域の活性化は低下していたが、慢性期にはその回復が見られ、さらに、新たな活性化脳領域が出現した。1は可逆的な障害の回復と考えられる。これに対して、2は急性期の運動ネットワークの代償、動員が起こったと考えられ、3は運動ネットワークの再構築が起こったと考えられる。これらの活性化脳領域の変化は脳卒中発症1〜2ヶ月の間に観察された。このように、脳卒中後の片麻痺の回復には、いくつかの脳機能の変動のパターンがあり、単純に障害が回復するだけでなく、脳機能を積極的に再構築して機能回復につなげる機構が存在することが示唆された。さらに、このような脳機能の再構築は発症後1〜2ヶ月という臨界期が存在する可能性も示された。
|
Research Products
(3 results)