2004 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における音声知覚に及ぼす背景雑音の影響に関する研究
Project/Area Number |
16500353
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
世木 秀明 千葉工業大学, 情報科学部, 助教授 (60226636)
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Keywords | 高齢者 / 音声知覚 / 背景雑音 / 心的辞書 / 高親密度単語 / 低親密度単語 |
Research Abstract |
本年度は、現有の簡易型防音室、パーソナルコンピュータ、アンプ、ヘッドフォンなどを用いて聴取実験が適切に行える実験環境を整備した。さらに、調書実験を行うための適切な音声刺激および、背景雑音の種類について検討を行い聴取実験用刺激を作成するとともに、成人健聴者を対象とした聴取実験を行い高齢者を対象とした聴取実験の準備を進めた。 具体的には、以下の事柄について研究を進めた。 1).器機備品費により液晶モニターテレビ、ディジタルビデオデッキ等を購入し、現有の簡易型防音室などを用いて聴取実験が適切に行える実験環境を整備した。 2).聴取実験を行うための適切な音声刺激、背景雑音の検討を行い、音声刺激には「日本語の語彙特性」(三省堂)に収録されている高親密度単語および、低親密度単語を背景雑音には、白色雑音、擬似音声雑音を使用することにした。さらに、これらを用いて実験刺激を作成するとともに、20代成人健聴者を対象とした聴取実験を行い、実験結果より(1)音声と背景雑音のレベル比と音声の聞きやすさに関する検討、(2)背景雑音の音響的特性と音声の聞きやすさに関する検討、(3)背景雑音中の音声の聞きやすさと心的辞書の関連に関する検討を行なった。 3).15名の高齢者を対象に予備実験を行い、20代成人健聴者を対象に行った実験結果と併せて検討を行い、高齢者を対象とした調書実験を行うための基礎的資料を得た。 4).視覚刺激を利用した実験刺激および、実験手続きの検討を行い、次年度行う(5)視覚刺激を加えた場合の背景雑音中の音声の聞きやすさに関する検討を行うための準備を行った。 本年度の研究結果から、20代成人では心的辞書を活用したトップダウン処理を強く働かせて背景雑音が重畳された音声の知覚を行っているのに対して高齢者では、注意深く雑音中の音声を聴取し、主にボトムアップ処理を活用した音声知覚をしている傾向が見られた。
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