2005 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における音声知覚に及ぼす背景雑音の影響に関する研究
Project/Area Number |
16500353
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
世木 秀明 千葉工業大学, 情報科学部, 助教授 (60226636)
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Keywords | 高齢者 / 音声知覚特性 / 背景雑音 / 心的辞書 / 高親密度単語 / 低親密度単語 |
Research Abstract |
日常生活のさまざまな場面で問題となる高齢者の雑音環境下における音声知覚特性について検討・考察を加え、高齢者に対する雑音環境下における効果的な音声情報伝達方式の提案や助言を行うことを目的として20代健聴者と60歳以上の高齢者を対象に聴取実験を行い、両者を比較しながら高齢者の雑音環境下における音声知覚特性について検討を行った。 1).背景音の重畳レベルや種類、メッセージに使用される単語親密度、文脈効果に関する検討 高親密度単語、低親密度単語および、その単語を想起しやすい文章に埋め込んだ文章を女性アナウンサー1名が発話した音声に白色雑音および、疑似音声雑音を様々なレベルで重畳させた実験用刺激をヘッドフォンで聴取させ、発話内容を記述させた。実験の結果、20代成人、高齢者にかかわらず相手に確実にメッセージを伝えるためには伝えるべきキーワードを想記しやすい文章に埋め込んで、伝える必要があると考えられた。さらに、高齢者では雑音の種類によらず雑音があること自体が聞きやすさの障害となり、20代成人と同程度の音声明瞭度を得るためには、背景雑音レベルを20代成人に比べ6dB程度低減する必要があることが分かった。 2).視覚情報による影響に関する検討 高親密度単語、低親密度単語をキャリアセンテンス「これは、〜です」に埋め込んだ文章を女性アナウンサー1名が発話したビデオ画像を用い、音声を画像とは異なる他の単語音声と入れ替えた視聴覚刺激、入れ替えない視聴覚刺激に疑似音声雑音を重畳させた実験用刺激を視覚刺激は20インチ液晶モニターテレビ、聴覚刺激はヘッドフォンより呈示し、発話内容を記述させた。実験の結果、低親密度単語音声や口唇形状の矛盾した高親密度単語音声を聴取したときには、内容の理解が難しくなり、低親密度単語聴取時は重畳雑音レベルが小さくても、音声と口唇形状の対応関係が音声内容理解に影響を与えることが示唆された。
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