2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16500376
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
瀧澤 文雄 千葉大学, 教育学部, 教授 (50114294)
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Keywords | 身体観 / 生成過程 / 現象学的分析 / ドイツ / 国際比較 |
Research Abstract |
本研究の目的は、現象学的観点から身体観の成立過程を分析・解釈し、明示することである。本年度はこれまでの研究成果を踏まえ、文献研究をもとに身体観生成の仮説モデルを作成した。特にドイツについて身体観生成の図式化を試みた。 仮説モデルについては、平成16年度日本体育学会(9月開催、長野)で発表している。われわれはある統一された身体観を持っているわけではなく、(1)生活の中から生ずる実感としての身体観(個人的)、(2)他者との関わりから生ずる実践としての身体観(公共的)、さらに(3)知識・情報から生ずる観念としての身体観(観念的)を混在した様態で保持している。感情の論理、実践の論理、理性の論理それぞれに基づいて上記三つの身体観は成立するが、それらは統合されず状況に合わせて使い分けられる。 10月下旬から渡独し三名の研究者に面談した。ハンブルク大学スポーツ科学学科「運動哲学」Peter Weinberug教授、フンボルト大学スポーツ科学学部「スポーツ哲学」Elk Franke教授、ドイツ自由大学「哲学」Gunter Gebauer教授である。各研究室を訪ね、身体観成立要因の仮説モデルおよびそれに関わるアンケートについて、さらにドイツではどのような身体観が成立しているのかについて意見を伺った。多くのドイツ人は身体観を特別に意識していないようである。身体に関わっては「健康、気持ち良さ」が重視され、若者にとってはファッションが、特に女性にとってはスリムな体に注意が向けられている。サラリーマンがたくましい体に憧れて、ジムに通っているという話もあった。職人文化に関わる身体観については、もはやそれはないであろうとのことであった。生活が便利になり、マスコミによる影響が多大であることは、日本と同様の状況であると言えよう。
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