2005 Fiscal Year Annual Research Report
身体運動技能の教授と模倣に関わるヒトの認知過程-その運動神経生理学的機序の解析
Project/Area Number |
16500380
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
笠井 達哉 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (60112702)
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Keywords | 認知 / 言語 / 運動イメージ / 運動野 / 運動誘発部位 / ミラーニューロン / ヒト |
Research Abstract |
ヒトの高等な精神機能として特に発達している機能の一つが「認知機能」である。ヒトの認知機能は複雑で多岐に渡ることから、その機能を担っている脳内過程の解析は、今まで神経生理学的メカニズムの解析対象にはなりにくかった。 そこで、本研究では、認知過程を具体的に実感できる実際の随意運動(目的の筋の筋収縮)を運動認知課題として取り上げた。そして、その随意運動の遂行過程の中から、脳内の認知過程がその運動の遂行に直接重要な役割を担っている「運動イメージ」の再生中に関わる脳内の電位的変化(大脳皮質運動野の興奮性の変化)を運動誘発電位として記録した。その変化から、運動の認知に関わる大脳皮質運動野の機能を解析した。得られた結果から、今までヒトの大脳皮質運動野は、筋の収縮を制御するだけの運動制御器官としてのみ理解されてきたが、大脳皮質運動は、従来の筋収縮に関わる運動制御機能と同様に、運動の遂行に関わる認知機能に関しても、重要な機能を担っていることが明らかになった。 特に、最近ヒトの認知過程に深く変わっているのではないかと注目されている「ミラー・ニューロン」は、運動の認知とも深く関わり、運動の遂行と言語中枢との関わりの深さをも示唆する結果であり、今後の解析結果に期待が持たれる研究成果であるといえる。
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