2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16500385
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Research Institution | Tokyo Women's College of Physical Education |
Principal Investigator |
金子 一秀 東京女子体育大学, 体育学部, 教授 (40185921)
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Keywords | 映像化 / 二次元 / 三次元 |
Research Abstract |
今年度は、実技授業展開の中で映像機器を用い運動発生問題(運動の技能習得過程)をとらえてきた。特に、運動の特徴を浮き彫りにする、撮影方向などを検討してきたが、自然科学的分析に役立つ撮影方向は必ずしも運動習得に有効な情報とはならないことが明らかになった。確かに、その映像情報から物理時空系での対象分析を試みるのであれば、運動を二次元化した際に出現する誤差をなくすために、画角や撮影方向が重要となってくる。しかし、実際に運動習得場面では、直接運動の映像を自分の目で見て欠点を理解しなければならない。そのためには、その欠点が浮き彫りになるような方向からの映像が重要となる。膝の曲がりなどは正面からの映像では浮き彫りにはならないが、体に対して横方向からの映像が有効であることは誰にでも理解できる。 しかし、運動中にひねりなどが行われた場合、いつどこで膝が曲がるかなどをあらかじめとらえていないと、撮影方向の規定は困難を極める。つまり、実際に指導者が自分の目で見て一番欠点が浮き彫りになる撮影方向を見抜かなければ指導実践場面で有効な映像資料とならないのである。今まで、映像化というのは科学的運動分析の資料であり、正確な分析のために対象に対して誤差の少ない映像を獲得するために運動と直交する撮影方向が一般的であった。しかし、現場で実際に学習者が欠点を理解するためには、二次元化された映像では指導者が有効な撮影方向を見抜いてから映像化するという二度手間が生じる。その意味では、三次元映像というのは興味深いものがあるが、現在ではその機器を実践で快適に使えるまでには至らない。また、仮に三次元化された映像が簡単に再生できたとしても、どこを見ることが運動習得に有効かは指導者の判断に委ねるしかない。結局、我々が運動発生の営みを行う際には、自らの身体をどう動かすかという主体の営みが中心的課題であり、その営みを触発するような映像を提供するには、学習者の蹟きを人間学的立場から分析を行わなければならないのである。次年度は、このような結果から学習者が何に躓き、どのような情報が運動発生に有効かを人間学的立場に立っ発生運動学から明らかにしていくことになる。
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