2006 Fiscal Year Annual Research Report
宮崎県内における夜神楽の後継者育成の仕組みに関する調査研究
Project/Area Number |
16500389
|
Research Institution | Miyazaki Women's Junior College |
Principal Investigator |
佐々木 昌代 宮崎女子短期大学, 准教授 (20270150)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根上 優 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (80108430)
|
Keywords | 夜神楽 / 後継者育成 / 格付け / 手割 / 山村留学 |
Research Abstract |
研究期間の最終年度であるので、これまでの調査によって明らかにしてきた「格付け」(難易度)と「手割」(「配役」「割付」)による後継者育成の仕組みを裏付ける基礎資料の収集に努めた。格付けに関しては、祭りの神楽次第をもとに、後継者の直接指導に当たっている保存会の会長、頭取、宮司、太夫や師匠格の長老達から聞き取り調査によって、後継者が経験を積み技量を磨いて成長していくための指標となる基本の舞から古老の舞にいたる過程を引き出すことができた。手割に関しては、銀鏡神楽と栂尾神楽については長期間保存されている手割表の複写ができ、格付けとの関連において個々の後継者の育成の過程を具体的に辿ることができた。 さらに、そのような仕組みが巧みに機能するために欠かせない多様な世代の後継者の確保、取り分け20代〜30代前半の若年世代の取り込みと、その土台となる小中学生へ基本の舞を伝承するためになされている地域住民の取り組みに関しても踏み込んで調査を行い、その典型的な事例として、銀鏡神楽の格付けと山村留学制度について報告ができた。 過疎高齢化に苦慮している地域であっても、夜神楽の後継者確保や育成の仕組みは一様ではなかった。旧来通りに伝承地域(伝承地のある市町村内)に居住している後継者だけで伝承が行われている夜神楽、伝承地域外に移住した後継者を組織して伝承の基盤を再構築した夜神楽、伝承地との地縁や血縁に拘らない後継者育成を始めている夜神楽があった。それぞれに関しては、現在の仕組みとその背景、可能性についてまとめることができた。 夜神楽ごとの舞の特徴と後継者育成の仕組みについては、後継者全員で全演目を習得する方式と持ち神楽によって分担で習得する方式では前者に変化の要因を抑制する傾向があり後者には昂進する傾向がみられ、夜神楽の開催状況による稽古の持ち方の差異によっては動きを多様化する傾向と動きの反復を多様化する頻度がみられた。このことについては、今後、調査対象の夜神楽地域を拡大して検証を進めることとした。
|