2005 Fiscal Year Annual Research Report
加齢及び生活習慣由来のインスリン抵抗性の改善における身体トレーニングの果たす役割
Project/Area Number |
16500402
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 祐造 愛知学院大学, 心身科学部, 教授 (80022870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
押田 芳治 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (10169295)
大澤 功 愛知学院大学, 心身科学部, 教授 (10223786)
長崎 大 愛知学院大学, 心身科学部, 講師 (30387568)
宇野 智子 愛知学院大学, 教養部, 講師 (80387571)
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Keywords | 生活習慣病 / 高齢者 / 糖尿病患者 / インスリン抵抗性 / 身体トレーニング / 他動的運動機器 / 正常血糖クランプ法 / 認知機能(MMSE) |
Research Abstract |
高齢者・生活習慣病患者に認められるインスリン抵抗性改善に関して検討を加えた。 1.臨床的検討 (1)高齢糖尿病患者の認知機能低下に及ぼすインスリン抵抗性の関与について検討を加えた。高齢糖尿病患者13名を対象とし、早朝空腹時正常血糖クランプ法を実施した。また、認知機能評価には、Mini Mental State Examination(MMSE)を用いた。MCRとMMSEとは正相関を示し、MCR高値群(5.0≦)のMMSEは低値群より有意に高値であり、認知機能低下例がインスリン抵抗性が高い(MCR低値)ことが判明した。以上の事実はインスリン抵抗性が高齢糖尿病患者の認知機能に関与している可能性を示唆している。今後身体トレーニングによるインスリン抵抗性改善と認知症の病態との関連に検討を加える予定である。 (2)大腿部の筋収縮を誘発する脚部他動的運動機器を用いた運動が高齢糖尿病患者のインスリン作用に及ぼす影響について正常血糖クランプ法により検証した。高齢2型糖尿病患者9名を対象とし、上記機器を用いた運動を30分間実施した。その結果、グルコース注入量(GIR, mg/kg/分)は安静時に比し、有意に増加した(5.1±0.4vs9.7±0.9)。脚部他動的運動機器による急性運動は高齢糖尿病患者の骨格筋への糖取り込みを安静時の1.9±0.1倍増加させ、従来のジョーバの1.5±0.1倍より、尚一層有用なトレーニング機器である可能性が示唆された。 2.動物実験的検討 ラットにトレーニングを実施する流水式プールの改良を行い、流水トレーニングがインスリンシグナル伝達系、ことに、IRチロシン酸化を有意に増加させることを確認した。 以上の臨床的および動物実験的成績は加齢および生活習慣病由来のインスリン抵抗性改善に身体トレーニングが有用であることを示唆しており、今後,臨床的・動物実験的に、さらに検討を実施する予定である。
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