2004 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータシミュレーションを用いた種々の跳躍動作中の筋・腱協調に関する研究
Project/Area Number |
16500403
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小田 伸午 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (10169310)
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Keywords | 垂直跳動作 / コンピュータシミュレーション / 最適化 / 筋骨格モデル |
Research Abstract |
4つのセグメント(足、下腿、大腿、胴)と摩擦のない3つの蝶番関節(股、膝、足)からなる平面剛体リンクモデル、及び9つのHill-type筋モデル(臀筋群、腸腰筋群、ハムストリングス、大腿直筋、膝関節広筋群、大腿二頭筋短頭、腓腹筋、ヒラメ筋、前脛骨筋)用いて、スクワット姿勢からの垂直跳動作のコンピュータシミュレーションを行った。遺伝的アルゴリズムによる最適化手法を用いて神経刺激入力の推定を行った。 跳躍方向を様々に変化させた場合、前方への跳躍動作では前頸骨筋の発揮張力が大きく、腓腹筋やヒラメ筋の張力は小さかった。後方への跳躍動作では逆のパターンが観察された。このことから、スクワットジャンプの跳躍方向は、主に下腿の筋の活動によって調節されることが明らかになった。 ハムストリングス、大腿直筋を単関節筋に置き換えた場合、最適化された跳躍高は増大した。これは、二関節筋が屈曲トルクを発揮するためだと考えられる。これに対し、腓腹筋を単関節筋に置き換えた場合跳躍高は減少した。腓腹筋の二関節性によって動作終盤においても収縮速度が低く抑えられ、発揮張力の低下がほとんど生じないためだと考えられる。二関節性による効果が腓腹筋においてのみ見られたのは、大腿部の筋が主に張力を発揮する動作前半では動作速度がそれほど高まっていなかったためであろう。下腿の筋は大腿部の筋に遅れて活動を開始するため、収縮速度抑制による発揮張力の維持がパフォーマンス増大につながったのだと考えられる。
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