2005 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータシミュレーションを用いた種々の跳躍動作中の筋・腱協調に関する研究
Project/Area Number |
16500403
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小田 伸午 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 教授 (10169310)
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Keywords | スクワットジャンプ / カウンタームブメントジャンプ / バスケットボール / 関節トルク / 跳躍高 / 到達時間 |
Research Abstract |
17年度から研究代表者が大学院人間・環境学研究科から高等教育研究開発推進センターに移籍したため、研究内容をジャンプの基礎研究から、ジャンプ動作のバイオメカニクス研究をスポーツ現場に応用する教育的バイオメカニクス研究にシフトさせた。 バスケットボール選手6名を被験者とし,LED(視覚刺激)が点灯すれば出来るだけ早くかつ出来るだけ高く跳ぶという教示のもと,バスケットボールのディフェンスジャンプを想定して、以下の4条件のジャンプを17試行ずつ計68試行行った。1)手を挙げた状態からスクワット・ジャンプ(upSJ),2)手を挙げた状態からカウンタームーブメント・ジャンプ(upCMJ),3)手を下げた状態から腕を振らずに体幹に沿うように挙げるSJ(downSJ),4)手を下げた状態から腕を振らずに体幹に沿うように挙げるCMJ(downCMJ)。 跳躍高はupSJが他の条件に比べて小さな値を示した.downSJとupCMJおよびdownCMJの間には有意な差はみられなかった.一方,LED点灯から最高到達点までの時間は,upSJおよびdownSJがupCMJおよびdownCMJに比べて短かった.LED点灯から上肢挙上指先端高より10cm高い地点への到達時間は,upSJが最も短く,続いてdownSJが短くなった.upCMJとdownCMJの間には有意な差はみられず,いずれもupSJおよびdownSJよりも有意に長かった.以上より、上肢挙上指先端高付近のパスに対してはupSJを,それよりも高い地点へのパスにはdownSJを行うことによってカットすることが出来る可能性が高くなることがわかった。いずれにしても,早くかつ高く跳ぶことが求められる状況では、スクワット状態で構えておくことが重要であることがわかった。 被験者内・条件内で,4条件全てで膝関節トルクパワーの最大値と跳躍高の間には正の相関関係がみられたが,CMJ条件では足関節トルクパワーの最大値と跳躍高の間には負の相関関係がみられた.また,CMJ条件では膝関節トルクパワーの最大値と足関節トルクパワーの最大値の間には負の相関関係がみられた。これは,二関節筋である腓腹筋の収縮が,足関節トルクパワーを大きくすると同時に,CMJにおける膝関節の急激な伸展を妨げたことが一因として考えられた。
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