2004 Fiscal Year Annual Research Report
暑熱・寒冷環境下における脊髄損傷競技者の体温調節、浸透圧、ホルモン及び免疫応答
Project/Area Number |
16500413
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
管原 正志 長崎大学, 教育学部, 教授 (20039564)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田井村 明博 長崎大学, 環境科学部, 教授 (10136624)
中垣内 真樹 長崎大学, 大学教育機能開発センター, 助教授 (10312836)
上平 憲 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80108290)
中路 重之 弘前大学, 医学部, 助教授 (10192220)
|
Keywords | 車椅子競技者 / 暑熱環境 / 寒冷環境 / 体温調節 / 発汗量 / 皮膚血流量 / コールアミン / 免疫 |
Research Abstract |
平成16年度は、温熱環境適応下での運動ストレスによる体温調節反応、皮膚血流量、浸透圧、ホルモン及び免疫の動態に関する検討であり、生体が暑熱・寒冷環境適応状態において相対的運動負荷を中性温度条件下で実施した。被験者は、脊髄損傷競技者の車椅子マラソン競技者男子6名と車椅子バスケット競技者男子7名、そして健康な大学生男子10名を対象として夏季と冬季に実施した。人工気象室内条件は、気温28℃、相対湿度60%でarm cranking ergometerにて60%Vo2maxの運動負荷で60分間実施した。測定項目は、胸部と背部の発汗量・発汗潜時、全身6ヶ所の皮膚温、上腕、胸部と背部の皮膚血流量、心拍数、産熱量、乳酸、カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパーミン)、好中球の活性酸素産生能であり、安静時、運動開始後30分経過時、運動終了直後の30分経過時、回復30分経過時、回復60分経過時にそれぞれ実施した。 安静時の各測定項目は、夏季、冬季ともに車椅子競技者も大学生もほぼ同様であった。運動時の各測定項目については、夏期の発汗量、皮膚血流量、産熱量において、車椅子マラソンの競技者、車椅子バスケット競技者よりも大学生が亢進し、平均皮膚温、カテコールアミン、好中球より見た免疫反応において、車椅子マラソン競技者、車椅子バスケット競技者が大学生より亢進していた。一方、冬季の各測定項目は、車椅子マラソン競技者、車椅子バスケット競技者、大学生とも運動開始後30分経過時、運動終了時、回復30分、回復60分において同レベルの推移であった。 運動中の生体反応は、寒冷適応下(冬季)で車椅子マラソン競技者、車椅子バスケット競技者、大学生ともに差異はないが、暑熱適応下(夏季)での体温調節の感受性や熱産生反応は、車椅子マラソン競技者、車椅子バスケット競技者が大学生より低い傾向であったのは、脊髄損傷が暑熱下運動時の体温調節に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
|