2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16500420
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
和田 佳郎 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80240810)
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Keywords | 動体視力 / 頭部運動 / 眼球運動 / 前庭動眼反射 / 滑動性追跡性眼球運動 / 衝動性眼球運動 / 周辺視野 / 意識 |
Research Abstract |
昨年度完成した眼球-頭部運動中の動体視力実験システムを用いて、健常被験者を対象に下記の2つの動体視力実験を実施した。 実験I:頭部静止および運動中の動体視力に関する実験 健常成人84人を対象に、CRTモニター上を右方向に等速運動(30、60、90、120deg/s)しながらランダムな順序で変化する3つの数字(1〜9)を、頭部静止条件、右回転条件、左回転条件にて読ませ、その正答数を動体視力スコア(3数字x20回=60満点)として評価した。結果より、いずれの条件も数字の速度が速くなるほど動体視力スコアが低下したが、頭部条件による差は認められなかった。 実験II:頭部運動による動体視力トレーニングの効果に関する実験 実験Iの結果を基にして、健常成人6人を対象に、頭部右回転条件、左回転条件にて右方向90deg/sの数字を読ませるトレーニングを2週間(100回/日)実施し、動体視力スコアおよび眼球運動(角膜反射法)、頭部運動(ポテンシオメータおよびジャイロ)を経時的に測定した。トレーニング前後での動体視力スコアの伸びは右回転条件(39.3→48.8)と左回転条件(36.8→48.2)で差はなかったが、右回転条件ではトレーニング開始直後に大きく上昇、左回転条件では直線的に上昇というタイムコースの違いが認められた。 右回転条件での眼球-頭部運動の戦略は大きく2種類に分けられた。一方は、トレーニングとともに頭部運動が小さくなり、前庭動眼反射(VOR)を抑制しながら滑動性追跡性眼球運動により運動物体を追う「VOR抑制戦略」である。もう一方は、トレーニングとともに頭部運動が大きくなり、運動物体が提示される時点ですでに減速、すなわち頭部の回転角加速度は左方向となる「逆相VOR利用戦略」であった。後者はこれまでの通説を覆すVORのユニークな機能の発見につながるものと考えられ、今後さらに研究を発展させていく予定である。
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Research Products
(2 results)