2004 Fiscal Year Annual Research Report
遅筋線維、速筋線維の分化・維持にかかわる遺伝子群の検索
Project/Area Number |
16500423
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
人見 嘉哲 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70231545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 秀樹 杏林大学, 医学部, 教授 (00133819)
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Keywords | 骨格筋 / 遅筋線維 / 速筋線維 / DNAアレイ / 細胞分化 / ラット / 骨格筋萎縮 / cDNAパネル |
Research Abstract |
骨格筋を構成する遅筋線維と速筋線維の分化と維持に関与する遺伝子群を明らかにするために、ラット、マウスの全骨格筋における遅筋線維と速筋線維の分布を検索した。その結果、齧歯類の骨格筋において、遅筋線維を30%以上含む骨格筋は、下肢に分布する7つの骨格筋だけであった。特に、ラット大腿方形筋、小内転筋、ヒラメ筋では、遅筋線維の割合が80%以上であり、遅筋線維における遺伝子発現を検討する上で重要なサンプルになることが分かった(Comp.Biochem.Physiol.B,140:45-50,2004)。 そこで、筋線維の割合が明らかとなった15種類のラット骨格筋からcDNAを調整し、ラット骨格筋パネルとした。次に8週令のSDラットより速筋線維で構成される前脛骨筋と遅筋線維を95%以上含むヒラメ筋より標識cDNAを調製しDNAアレイ解析に用いた。その結果、両骨格筋間で500程度の遺伝子でmRNA発現量に差異が認められた。これらの遺伝子から約20遺伝子をランダムに選び、ラット骨格筋cDNAパネルを用いてRT-PCRを行ったところ、アレイ解析の結果は、骨格筋に含まれる遅筋線維と速筋線維の割合とよく一致していた。mRNA発現量の差異は、約70の代謝酵素遺伝子、45の構造タンパク質遺伝子の他に、約80の転写因子、シグナル伝達因子で観祭された。この他に機能が知られていない遺伝子が250程度含まれていた。現在、支配神経切断によるラット下肢骨格筋萎縮モデルから萎縮骨格筋サンプルを調製し、正常骨格筋と萎縮骨格筋間でDNAアレイ解析を進めている。これらの情報を合わせ、遅筋線維と速筋線維の分化と維持に関与する遺伝子群を効率よく抽出できると考えている。
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