2004 Fiscal Year Annual Research Report
見越し反応の発現様式と系列運動スキルの学習と適応過程の評価
Project/Area Number |
16500428
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
調枝 孝治 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (00017782)
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Keywords | 系列運動スキル / 見越し反応 / フィードバック制御段階 / 適応過程 / 相補性 / 系列パターンの追従課題 |
Research Abstract |
本年殿の研究目的は、系列運動パターンの追従課題を用いてフィードバック(習得)制御段階と適応制御段階の両制御段階で発現する見越し反応の諸機能を同定することである。「実験1」大学生男子20名に対して、フィードバック制御段階の刺激(S)-反応(R)事態で、6個の系列位置から構成された系列パターン刺激を追従させた。刺激点灯時間は100msec,刺激呈示間隔時間(ISI)は300,400,500,600msecで、1系列1試行として100試行追従させた。その結果、4つのISI条件で、6個の系列位置に対する4つのパフォーマンス測度(無反応、誤反応、正反応、見越し反応)の出現比率は、系列位置には影響されずISIの効果が大であった。つまり、ISIが300msecから400msecになると無反応と誤反応が急激に減少し、主に正反応が増大する。この増減傾向は、試行内で一貫した変動を示した。しかし、ISIが500msecから600msecになると無反応と誤反応の更なる減少と、試行数の増大に比例して正反応の減少と見越し反応の増大という相補的な発現様式が見出された。この知見は正反応時間と見越し反応時間の出現度数分布や反応時の最大荷重値、抜重比、加重時間でも確認した。「実験2」大学生男子20名に対して、フィードバック制御段階と系列位置というパラメータが変化する適応制御段階で、6個の系列位置から構成された系列パターンを完全に見越し反応で2回追従するという達成基準で追従させた。刺激点灯時間は100msec,ISIは500msec。フィードバック制御段階と適応制御段階内を初期3試行と達成基準前の後期3試行に焦点をあてて、実験1と同様の4つのパフォーマンス測度の出現比率から習得と適応の両過程の評価を行った。その結果、習得段階の後期では、見越し反応の出現比率は80%になったが、適応過程の初期では、系列位置の変化により見越し反応は著しく減少した。しかし、適応過程での到達基準までの試行数は習得過程でのそれよりは節約されることが見出された。
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