2005 Fiscal Year Annual Research Report
特殊環環への生体適応を利用した生活習慣病改善のための運動処方
Project/Area Number |
16500446
|
Research Institution | National Institute of Fitness and Sports |
Principal Investigator |
荻田 太 鹿屋体育大学, 体育学部, 助教授 (50224134)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜岡 隆文 鹿屋体育大学, 体育学部, 教授 (70266518)
|
Keywords | 生活習慣病 / 低圧低酸素環境 / 水中環境 / 運動処方 / 心血管系機能 / 糖代謝 / 脂質代謝 |
Research Abstract |
【目的】本研究の目的は、低酸素環境と水中環境を併用した運動処方が循環・代謝機能に及ぼす影響について明らかにし、生活習慣病改善に対する運動処方プログラムの確立に資する基礎資料を得ることであった。 【方法】被検者は特に疾患を有さない青年群A(6名)、青年群B(6名)、中高年群C(5名)であった。A群、C群は海抜2000m相当、B群は2500m相当の低圧環境下において、1日1回30分間(暴露は2.5時間)のトレーニングを、週3日の頻度で4週間行った。運動は50%VO2max相当の強度による水中運動とした。トレーニング前後に、最大酸素摂取量、同一最大下運動時の循環応答、血液性状、身体組成について測定し、効果を評価した。 【結果及び考察】4週間のトレーニング後、最大酸素摂取量はどの群においても有意な変化はなかった。最大下運動中の循環応答については、A群、C群では有意な変化が認められなかったが、B群では1回拍出量、心拍出量の増大、最低血圧、平均血圧の有意な低下が認められた。また、早朝空腹時の血糖値には変化は認められなかったが、糖負荷テスト後120分までのアンダーカーブ面積およびインシュリン濃度は、B群、C群において有意な低下が認められた。一方、血中脂質に関しては、A群、C群において総コレステロールの有意な低下が認められたが、B群では変化は認められなかった。皮脂厚はA群、B群で有意に低下し、内臓脂肪厚はC群のみ低下した。以上の結果から、低圧環境下での水中運動は、血圧低下、一回拍出量、心拍出量の増大といった心血管機能向上を短期間に、さらに糖代謝、脂質代謝を亢進させ、生活習慣病改善に対して有効であることが明らかとなった。しかしながら、循環応答、糖代謝、脂質代謝それぞれに対する効果は、同じ低圧環境レベル、運動頻度、運動会館においても青年群と中高年群ではレスポンスの程度や速さが異なることが示唆された。
|