2006 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病をもつ高齢者の健康寿命延長をめざした新しい運動処方作成の基礎的研究
Project/Area Number |
16500451
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤本 繁夫 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90128752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 貴仁 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (10381998)
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Keywords | 高齢者 / バランス機能 / 健康寿命 / 歩行能力 / 下肢筋力 / 下肢筋力の左右差 / 転倒 |
Research Abstract |
高齢者が自力で日常活動ができる体力を維持し、いわゆる、健康寿命の延長を目的に、平成18年度は下肢の伸展筋力の維持と下肢筋力の左右差を改善することを目指した新しいトレーニングプログラムを開発した。さらに後期高齢者を対象に、このトレーニングを施行し、下肢筋力機能、バランス機能、運動能力や転倒感に及ぼす効果を検討した。対象は75歳以上の支援が必要な虚弱高齢者に、2ヶ月間の下肢筋力のトレーニングを施行した。このプログラムの特徴は、筋力の強い足では最大伸展筋力の50%、弱い足では60%の錘をつけた筋力トレーニングを3種目、10回、2-3セットと、最大筋力の5%の錘をつけて、障害物を置いた10mの距離を歩く運動を週2回行った。なお訓練中は理学療法士の監視下で、平行棒を持って歩くように指導した。 その結果、膝伸展筋力は、108.9±61.9Nから153.7±72.7N(p<0.005)に、筋力の左右差は22.1±17.7%から13.9±12.5%に改善し、バランス機能の指標である開眼片足立ちは4.6±5.3秒から8.4±8.2秒(p<0.02)に延長した。運動能力および転倒予防機能の目安になる10m障害物歩行時間も21.7±9.8秒から19.3±8.8秒といずれも改善した。そのため、家庭内での日常動作として、椅子からの立ち上がりと部屋内での動作の総合機能であるTime up and Go testは17.2±7.7秒から13.8±6.3秒(p<0.OOI)に短縮し、転倒恐怖感の自覚症状も改善した。これらの自覚症状と日常動作機能の改善は、家庭内での活動能の増加に繋がり、QOLの向上にも関与する。さらに高齢者の寝たきりに繋がる転倒-骨折-入院-寝たきりの悪連鎖を予防することになり、ひいては高齢者の健康寿命の延長に繋がる。今後、引き続いて行い、実際の健康維持期間の効果を検討することの必要性が示唆された。
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Research Products
(2 results)