2004 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼運動の記憶・学習機能に及ぼす作用に関する研究-痴呆発症要因の可能性として-
Project/Area Number |
16500468
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
佐藤 知絵 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (00356255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 詳子 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (50332383)
井口 義信 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (10342916)
根本 正史 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (80370980)
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Keywords | 咀嚼 / 記憶 / 脳血流変化 / 近赤外分光計測 / 認知症(痴呆症) |
Research Abstract |
1.咀嚼力の評価法 咀嚼能を評価する場合、(1)物理的指標:歯の欠損、咬合面積、平均咬合圧、咬合力、(2)機能的指標:咬合状態(不正咬合の分類)、偏位咀嚼の有無(噛み癖)の各項目を考慮し、相互の関連も含め総合的に評価する必要があることがわかり、これらの知見に基づいて実験条件を設定した。また、側頭筋位置における連続光型の近赤外分光(NIRS)計測を行うことにより、ヘモグロビン(Hb)濃度の変化パターンからは咬合状態に関して、Hb濃度変化幅からは咀嚼運動量に関して(ただし、現時点で個体間比較はできない)の情報が得られることが見出された。 2.咀嚼時の脳血流変化計測 若年者群(18-30才)を対象とし、連続光型および時間分解計測型のNIRS装置を用いて、前額-側頭部範囲における反射光強度を計測し、咀嚼時のHb濃度変化を調べた。咀嚼時、連続光型計測によって得られたHb濃度の時間変化は、各被験者の咬合状態に依存して様々な形態を示した。しかし、多くの場合、筋活動時にみられるHb+ミオグロビン(Mb)変化に類似し、咀嚼開始によりtotal-Hbが減少、その後、deoxy-Hbの増加、oxy-Hbの減少、咀嚼停止によりベースライン方向に戻るというパターンであった。一方、時間分解型計測を実施したいくつかの計測部位において、前述の連続光型計測結果と異なるHb濃度変化が認められた。それらは概ね、咀嚼開始とともにoxy-total-Hb濃度が増加する変化パターンであった。これは、時間分解型計測を用いて得られる光シグナルが、表層(頭皮・筋肉)変化よりもむしろ深部位置(脳組織)のHb変化を反映していることによるものと考えられ、計測部位を適切に選択することで、咀嚼前・後の脳血流変化をNIRSで捉えられる可能性を明らかにできた。
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