2005 Fiscal Year Annual Research Report
陣羽織の素材、技法の科学的分析と染織史学的立置づけに関する研究
Project/Area Number |
16500482
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
齊藤 昌子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (20104086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長崎 巌 共立女子大学, 家政学部, 教授 (20155922)
河島 一惠 共立女子大学, 家政学部, 教授 (60086733)
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Keywords | 陣羽織 / 緋羅紗 / 染料 / 触染剤 / 染織技法 / 構成技法 / 南蛮貿易 / 染織史 |
Research Abstract |
墨資料館が収蔵する103領の陣羽織の主要素材である毛織物は、ヨーロッパで製織、染色され、オランダ人によって日本へ運ばれたものである。 これらの舶載毛織物の色は、赤色がその4割を占めている。これらの赤色を測色した結果、紫色系の赤と黄色系の赤に大別された。これらの布の染料を高速液体クロマトグラフィ(HPLC-PDA)で分析した結果、コチニール、ラック、コチニールと茜、コチニールとラック、コチニールと不明染料の5種であった。また、媒染剤を蛍光X線分析法で分析した結果から、Al、AlとSnの2種が存在し、紫色系の赤はAl媒染、黄色系の赤はAlとSn媒染が行われ、媒染剤によって赤色の色相が異なることが判明した。Snを用いた錫媒染は、オランダ人によって1603年に発明され、その後急速に黄色系の赤が広まったことが染色技法書から判明し、科学分析の結果と一致した。また、錫媒染には必ずAlも併用されていることが分析結果から明らかになった。
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Research Products
(3 results)