2005 Fiscal Year Annual Research Report
発酵性乳製品由来の酵母を用いた新規プロバイオティクス製品開発を目指した基礎的研究
Project/Area Number |
16500502
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
玖村 朗人 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (00241365)
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Keywords | プロバイオティクス / 酵母 / 免疫グロブリンE(IgE) |
Research Abstract |
発酵性乳製品であるチーズより分離した酵母がプロバイオティクスとしての機能を有するかどうかを観察するために、オブアルブミン(OVA)で腹腔内に免疫したマウス(BALB/c、6週齢、メス)から脾臓細胞を調製し、OVA存在下・非存在下で培養した。OVA存在下で培養する場合には、酵母(5菌種10菌株)または乳酸菌(L.caseiシロタ株)の菌体破砕物を追加して培養する条件を併設した。培養2週間後に遠心分離によって培養上清を回収してその免疫グロブリンE(IgE)濃度を市販のELISAキットを用いて測定した。また、沈殿ペレットからRNAを調製し、RT-PCRによってサイトカインの発現を確認した。 (結果と考察、今後の展望) 本実験で用いた酵母の何れにおいても培養時の菌体破砕物の添加濃度が高い場合(0.5mg/ml)には、明らかなIgE産生抑制効果が観察された。添加濃度をその100分の1にした場合においても、実験毎に程度の差こそあったものの、IgE産生抑制効果が認められた。そこで最も代表的な酵母であるS.cerevisiaeと本実験で用いた酵母の中では唯一、ヒト大腸由来樹立株細胞であるCaco-2に付着性を有するK.lactisおよび乳酸菌とでIgE産生に関連の深いサイトカインの発現について調べたところ、これらの微生物菌体成分の添加によってIL-12の発現が増加した。一方、酵母菌体成分を添加するとIL-6の発現が認められるのに対して乳酸菌の添加、あるいはOVAのみの添加で菌体成分無添加の場合ではIL-6の発現は誘導されなかった。このことはIgE産生抑制において乳酸菌と酵母菌体では異なるメカニズムを介している可能性が示唆された。今後、酵母と乳酸菌の単独および混合添加によるIgE産生抑制効果を培養系のみならずin vivoによる実験で確認する必要がある。
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