2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16500511
|
Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
岸田 恵津 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (70214773)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増澤 康男 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (30119622)
|
Keywords | 脂肪酸 / 細胞死 / ネクローシス / ドコサヘキサエン酸 / リン脂質 / 腫瘍壊死因子 |
Research Abstract |
脂質は、細胞膜の構成成分でもあり、摂取する食事や食品の中の脂肪酸のバランスによって細胞膜リン脂質の組成が変わり、さらに性質や機能が影響を受け、これが種々の疾病や機能発現につながりうる。本研究では、脂肪酸、特にドコサヘキサエン酸(DHA)に焦点を当て、まずDHAに特異的な機能を示し、そのメカニズムを明らかにすること、そして得られた知見をもとに、脂肪酸栄養の制御により新しい疾病予防が可能か否かを明らかにすることを目的とする。 今年度は、炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子(TNF)誘導の細胞死に対する多価不飽和脂肪酸の影響について、TNF感受性の高いマウス皮膚繊維芽細胞L929を用いた解析を中心に行い、以下のような結果を得た。 DHAを多く取り込ませた細胞では細胞死を抑制したが、L929細胞ではU937細胞と異なり、アラキドン酸(AA)やエイコサペンタエン酸(EPA)でも細胞死を抑制し、抑制の強さはDHA<EPA<AAの順であった。TNF単独で刺激した場合の細胞死は、DNAラダーが検出されないこと、アネキシン-FITCとプロピジウムヨード染色がほとんど同時に進行することから、ネクローシスであると判断され、これらの脂肪酸はネクローシスに対して抑制作用を示した。 多価不飽和脂肪酸を取り込ませた細胞のリン脂質膜脂肪酸組成を分析すると、添加した脂肪酸だけでなく、炭素鎖22の脂肪酸の割合が顕著に増加していた。また細胞増殖促進作用を調べたところ、AAの割合が増加した細胞では、増殖が促進された。 したがってTNF誘導の細胞死の抑制には、n-3系脂肪酸では、細胞膜リン脂質中に増加したDHAによる細胞死抑制効果に加えて炭素鎖22の脂肪酸が関与し、n-6系では、AAの増加による細胞増殖促進効果が関与している可能性が示され、n-3系とn-6系脂肪酸で抑制メカニズムが異なると考えられる。
|
Research Products
(1 results)