2004 Fiscal Year Annual Research Report
食生活による老化予防のための細胞老化メカニズムの解明
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16500526
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
土井 裕司 武庫川女子大学, 生活環境学部, 助教授 (50106267)
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Keywords | リン脂質過酸化物 / PC12細胞 / 微小管 / 細胞骨格 / チューブリン / 細胞生育 / 神経突起形成 |
Research Abstract |
日本を始め多くの国では高齢社会を向かえ、痴呆性疾患が問題となっている。特にアルツハイマー症では、老人斑、神経原線維変化、ニューロンの脱落、シナプスの減少、脳細胞の萎縮や脳細胞数の減少が観察されている。 細胞内タンパク質であるチューブリン(以下、Tbと略す)は、重合によって微小管を形成する。微小管は、細胞内の様々な細胞機能に関与し、脳機能とも深く関わっている。前述のアルツハイマー症にみられる現象は、Tb・微小管系の劣化とおおいに関係していると考えられる。 本研究者は、すでにTbとリン脂質過酸化物(以下、POと略す)との相互作用についてin vitroで検討した。そこで、本研究では、in vivoでの研究を目指し、POが動物培養細胞に及ぼす影響、特にPOとTb・微小管系との関連を明らかにすることを目的としている。 細胞生育への影響の検討結果より、分化前細胞では70μM以上、分化後細胞では50μM以上において生育阻害が認められた。POによる細胞の形態変化、神経突起の形成阻害及び崩壊が認められた。また、PO濃度依存的に細胞膜損傷がおこることが明らかとなった。いずれの測定でも、分化後細胞がより損傷をうけることが示された。さらに、細胞抽出液のGTPase活性低下が認められ、微小管の形成阻害が示唆された。 以上から、POはTbをターゲットとし、細胞生育に阻害的に働いていることが明らかとなった。また、POは細胞膜を酸化させ、膜損傷を起こして細胞内部に入り込み、Tbと結合して微小管形成を抑制すると考えられた。この事実は、POが細胞劣化を導くことを意味している。
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