2004 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの数学観の拡張を目的とする民族数学を利用した中学校教材の開発
Project/Area Number |
16500550
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
馬場 卓也 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 助教授 (00335720)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 秀樹 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50116539)
渡辺 信 東海大学, 海洋学部, 助教授 (70240489)
|
Keywords | 情意的側面 / 数学観 / 民族数学 / 移行 |
Research Abstract |
1.背景 第三回国際理科数学教育調査(TIMSS)によれば、日本の子どもたちは学習達成度を測るテストにおいて上位を占めるが、教科の好き嫌いを問う質問では、参加国中で最下位を占めている。この不均衡な状況は、情意的な側面が子どもにより継続的な影響を及ぼすがために深刻な社会問題である。子どもたちが数学を身近な存在と感じていないことが、上記の調査の中で、この原因として取り上げられている。そこで、長崎(1999)は、社会生活と学校数学を並立させた枠組みを基に、横への数学化と数学の応用という二つの方向性を包含する「数学と社会をつなげる力」という観点から研究に取り組んだ。 2.目的 本研究では、この枠組みに対して、算数から数学への移行期のため抽象度が急に増し、数学嫌いに拍車をかけていると考えられる中学校数学を対象に、社会・文化の中に見られる多様な民族数学を利用して、子どもたちの数学観を豊かにすることを目指して教材の開発を行うことを目的としている。 3.実績概要 本研究は、これまで行ってきた授業実践を元に数学教育研究の基盤の拡充を行った上で、民族数学に基づく中学校教材の開発及び子どもの数学観変容の測定という2つの研究により構成される。具体的には、2つの授業(アラベスクを利用した模様構成の活動を取り入れた授業、家紋分類の活動を取り入れた授業)を構成した。これらの授業を、9月と2月に広島市立己斐中学校にて実施した。 研究基盤を広げるために、前者の民族数学に関しては、2004年12月21日に大阪教育大学元教授松宮哲夫氏、内モンゴル教育大学教授代欽氏を招き、中国における数学教育の歴史的背景について認識を深めた。また後者の数学観の変容に関しては、2005年3月21日にMonash大学名誉教授A.J.Bishop氏を招き、数学教育の価値観について様々な視点をえて、研究基盤を深めることができた。
|