Research Abstract |
高校までの関数の学習が公式の当てはめと計算中心で行われていることが多いため、関数を実際の場面で使えない学生が非常に多い。本研究では,今まで学習指導要領をはじめ,多くの人たちに言われている「関数的な考え」を拡張し、コンピュータ環境やグラフ電卓などのテクノロジーを有効に利用し、表、グラフ、代数式を視覚的かつ統合的に扱いながら、「関数」を現実の問題の中で変化する事象を表すツール(竹之内、2002)と捉え、関数を活用し,問題解決出来る能力を"関数センス"と呼んでいる。できるだけ多くの場面で関数を利用する機会を作ることで,この"関数センス"を育て,関数を生活の中で活用できるようにすることを目的としている。そこで、高校生,短大生を中心に、現実的な場面や動的図形学習環境の中で,いろいろな関数的な動きの場を設定し、"関数センス"を育てるために、表計算ソフト,作図ソフト,グラフ電卓などを統合的に使い,モデル化し,式をグラフから考えたり、データからグラフを見ながら、その動きと式を結びつけたりする活動が可能な教材の開発を行っている。研究代表者がSSHでの試みをまとめる機会を得たので,その中で優秀な生徒を対象に実施されている物理と数学,音楽と数学,経済と数学など他教科との統合的な扱いを,数学が得意でない生徒のための教材とする試みも行っている。さらに、デンマーク、シンガポール,ブルガリアなどの教科書,資料を集め,海外でのテクノロジーを利用した関数教材の分析も行っている。1年目は教材をあつめ,"関数センス"を育てるという観点で,効果を見ながら教材を再構築している。また,これらの教材をeラーニング環境で利用できるように学生自身に作らせてその効果を調べている。今後,このような教材を充実させ,組織化し,実践し,その効果をさらに調査する計画である。
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