Research Abstract |
数学教育の中でIT活用が始まり20年近くになる.最近は誰でもどこでも,同じような環境でITの活用ができるようになった.しかし,数学教育でのIT活用は研究授業で実施されるだけであったり,一部の興味・関心ある教員の間でのみ実現されていて,生徒や学生へ反映されていない.その原因として,グラフや図の視覚化により,生徒はより効果的に,楽しく学習できる環境が整っているにもかかわらず,身近なソフトを使って簡単にできる教材が少ないことが挙げられる.また,短大,文科系の学生が関数を利用して現象を表現したり,判断したりする機会に直面したとき,苦手意識が強く,関数と聞いただけで敬遠し,関数を利用できない学生が多い。この原因として,中学,高校では,1次関数,2次関数と1つ1つばらばらに教えられ,式操作中心になりがちであることが考えられる(Steen, 1990, p.4). 本研究では,このような原因を克服するために,関数の学習でITを活用し,グラフ,式,数値を道具として使いこなし,関数に関する探求,問題解決ができるような関数センスを育てるための統合的なアプローチを構築し,電子テキストとWeb上での探求環境を開発した. 今までの学校教育とは,違った方向で,ITの活用により拡張できるところは拡張したアプローチを試みた.電子テキストはCD-Rで提供し,それぞれの場面で,表計算ソフトExcelと無料でPlug inのソフトをダウンロードし,使える図形学習ソフトCabri GeometryとCabri 3Dを使って関数の探求ができる.本研究で扱っている教材は,ケーススタディやワークショップでの実施を繰り返しながら,改良を加えた.できるだけいろいろな形の関数に接することができるような場面を作り,数値を操作し,視覚的に変化を観察しながら関数の性質をつかんだり,問題解決できる.
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