2006 Fiscal Year Annual Research Report
学習者レスポンスの分析による思考過程の変容の解明と授業改善
Project/Area Number |
16500610
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Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
塚本 榮一 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (70298298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤堀 侃司 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (80143626)
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Keywords | 授業改善 / 感想文 / イメージ図 / 学習者レスポンス / FD / 携帯メール / 共同作業 / 相互評価 |
Research Abstract |
本研究は、大学の授業改善を目的として、授業において学習者に感想文やイメージ図を描かせ、これを学習者レスポンスとして分析することにより、授業改善の方略を研究したものである。 大学の授業改善は重要な課題であり、特に私立大学においてはその経営基盤をなす教育方法の改善は極めて重要な課題である。多くの学生の興味や意欲を引き出しながら、かつ一定の水準を確保するという厳しい問題解決を迫られている。そして授業改善は、方法論の問題だけでなく、カリキュラム構成の仕方や教員資質の養成(Faculty Development)の問題でもある。本研究は、日本の女子大学の授業を対象にして、学習者レスポンスを分析することにより授業改善を行うことを目的としている。 その為、携帯メールによって学習者レスポンスを収集するシステムを開発し、成績上位と下位を比較した結果、知識カテゴリが下位に多く、考察カテゴリが上位に多いことが、統計的な有意差をもってわかった。したがって、知識を与えるだけでは授業改善として十分でないことを明らかにした。また、学習意識のアンケート調査を実施して因子分析を行った結果、学習者の意識に「興味・関心」「意欲・行動」「知識・理解」「考察・洞察」の因子が存在することがわかり、これにより様々な手法で得た本研究の知見である学習者レスポンスの4つのカテゴリが、総括的に4因子として抽出され、授業を規定する因子構造として同定された。また学習者レスポンスと成績の関係を分析した結果、意欲と考察は成績との間に強い相関があることがわかった。すなわち、意欲と考察を向上させることが、授業改善として有効であることが本研究の知見として示された。 そこで、意欲と考察を向上させるために、学生に共同作業と相互評価を行わせる授業方法を提案し、実践的な研究を行い、共同作業と相互評価には効果があること、運用上には幾つか注意すべき点があること明らかにした。そして、感想文分析の自動化のための基礎的な検討を行った。その結果、形態素レベルでは成績間に差を認めないが、上位者の文章は授業内容を再構成していることを示した。また小中学校の授業について検討した。
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Research Products
(3 results)