2004 Fiscal Year Annual Research Report
アジア中東部地域における気候変動および水資源動態の分析に関する研究
Project/Area Number |
16500652
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中山 裕則 日本大学, 文理学部, 教授 (90318329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 和紀 日本大学, 文理学部, 教授 (60024494)
山川 修治 日本大学, 文理学部, 教授 (00183674)
田 少奮 日本大学, 文理学部, 助手 (60366549)
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Keywords | 気候変動 / 水資源 / 人工衛星データ / 時系列解析 / 土地被覆変化 / 水文データベース / 湖沼変動 / 異常気象 |
Research Abstract |
研究対象地域うち、まず中国西域の天山山脈とその周辺域を中心とした領域で、2004年の人工衛星Terra/MODISデータを解析し閉塞湖水域および流入河川上流の山岳雪氷域の月単位年間変動パターンを分析した結果、春の雪解け開始後の雪氷域減少に伴い閉塞湖水位も徐々に低下するが、流入河川沿い農地で7月に灌漑用水を多量に使用するのに連動し水位が一時的に急速に低下することが明らかになった。またLANDSATデータにより過去約30年間の灌漑農地分布状況を調査した結果、流域によっては灌漑農地面積が3倍以上拡大したことが明らかになり、本地域の環境変化は、急激な灌漑農地開発の影響が大きく、これに温暖化の影響も加わっていることが示せた。次に、洪水発生が増加傾向の長江中流域において、時系列衛星データ解析と現地調査により、洞庭湖や〓陽湖で埋立てに伴う洪水調節機能低下の影響による近年の洪水発生の増加が推察された。 広域的な視点からは、近年,頻発している洪水や乾燥化などとの関係も推察される異常気象のなかで,2003年日本での10年ぶりの冷夏を中心に解析した結果、オホーツク海高気圧だけでなく寒冷渦が重要な要因として認められ、その寒冷渦の成因として,冬季の極渦の発達と春季のオゾン層オゾンの減少が係わることが示せた。夏季におけるオホーツク海高気圧と日本列島上の停滞前線の出現は,春季にシベリアが高温となり,極東で南東季節風,高気圧性循環を引き起こしやすいことに一因があることも明らかにした。また,アジア大陸からの黄砂飛来について、その頻度の平均的な空間分布が九州・四国・中国地方を中心とする西日本で多く、東日本で少ないのが特徴であるが、経年変動が大変大きいこと、近年の黄砂飛来頻度の増加傾向は主に西日本で顕著であり、東日本では明瞭ではないことが明らかとなった。 さらに、アジア中東部地域を対象とする水資源の動態を定量的に把握することを目的に、異なる時空間尺度の下における水と地域特性・人間活動との相互関係について比較検討した。その結果、近年局地的にみられる水文極値現象の頻発化と水質汚染の顕在化の実態が明らかとなった。水環境の負の方向への変化に関わる要因の解明にとって、水循環を中心的な概念に据えた水の持続可能性の観点からの水資源の適正な利用と保全・管理の重要性が指摘される。
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Research Products
(6 results)