2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16500654
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Research Institution | National Agricultural and Bio-oriented Research Organization |
Principal Investigator |
山本 博 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所・山地畜産研究部, 室長 (00355075)
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Keywords | 水文地形 / 水質形成 / 流域 / 土壌水分 / 放牧草地 |
Research Abstract |
本研究では、草地の尾根・谷の微地形ごとに土壌水分の変動と、水質の形成機構を水文地形学的に解明することを目的とする。試験流域には、長野県東部火山山麓に位置し、土壌は腐植質黒ボク土で構成され、草地は放牧利用されている流域を選定した。土壌水分の状態は、尾根部の3地点と谷部の10地点において、テンショメータを用いて深さ別(10,20,50,100cm)に毛管ポテンシャルを測定した。土壌水は100cm深でポーラスカップ法により採取し、水質成分を測定した。 その結果、降雨後の土壌水分は、尾根では表層(10cm深、20cm深)の水分上昇が大きいが、下層(50cm深、100cm深)の水分変動が小さく、水理ポテンシャル勾配が、20cm深と50cm深との間で小さくなる。谷では10cm深、20cm深で高水分が継続するとともに50cm深、100cm深での水分上昇が大きい。これらと、土壌のpF水分特性、および飽和透水性とから、尾根では雨水が下方浸透後に谷にむかって深さ20〜40cmを側方移動し、100cm深への配分が少ないと判断された。谷では、周囲からの雨水の集合と深部への浸透が推定された。 土壌水に含まれる水質成分の濃度は、陰イオンでは硝酸と塩素が、また陽イオンではカルシウムが類似の変動パターンを示した。尾根では頂部で濃度が最も高く、谷部では谷の下流方向に施肥部でこれらの濃度が増加するが、無施肥部では下流方向に濃度が低減した。土壌水のpHは、谷の施肥部で下流方向に低下し、無施肥部では下流方向に上昇した。 以上から、尾根では土壌水が側方移動するため、100cm深のこれらイオン濃度が小さくなると判断された。谷の施肥部では、流域内の雨水の集合に伴い濃度が高まるが、無施肥部では硝酸イオンの脱窒により濃度が減少し、それにあわせて他のイオンが変動すると判断された。
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Research Products
(3 results)