2005 Fiscal Year Annual Research Report
都市大気オキシダントの増加トレンドに見られる2,3年変動のメカニズムの研究
Project/Area Number |
16510006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
永尾 一平 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (00252297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神沢 博 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (20150047)
古賀 聖治 経済産業省産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究官 (70356971)
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Keywords | 都市大気オゾン / 2〜3年周期変動 / オゾン前駆物質 / 光化学反応 / 輸送過程 / オゾンカラム量 |
Research Abstract |
1.都市大気のオゾンと前駆物質および紫外線の観測 (1)オゾン生成に関わるオゾン前駆物質の測定 都市(名古屋)におけるNMHCの各組成別の濃度の季節変化には次の大きな特徴が見られた。まず、年間を通して、アルカン類の濃度がアルケン類やアルキン類、あるいは芳香族炭化水素に比べて濃度が2,3倍ほど高い。また、春から夏にかけて植生起源と考えられるイソプレンの濃度が顕著に増加。アルケンの主要な成分となる。さらにOHとの反応性について調べた結果、アルカン、アルケン、芳香族で比較すると、冬季などはアルカンとの反応が主であるが、春から夏にかけてはイソプレンの増加により、アルケンとの反応が支配的である。 さらに長期のデータを必要とするため、名古屋などの都市大気の大気汚染監視データの長期データを用い、2,3年変動の位相と、これらの濃度の経年変化の位相の関係を解析している。 (2)オゾン破壊に関わるUVB強度と、UVB強度を決定するカラムオゾン量の測定 FTIRの修復については、高価な部品などの交換などが必要であり、実施できなかった。代わりに、TOMSなどのカラムオゾンの長期データを入手し、解析に着手した。また、各地(那覇、筑波など)のUVBの長期データを入手し、その解析に取り掛かった。2,3年変動の位相と,カラムオゾン量やUVB強度の経年変化の位相との関係を解析している。 2.輸送過程、気団出現頻度などの気象データ解析 日本の都市に到達する気塊の経路の解析を行っている。まだ数年程度であるが、清浄な海洋大気に覆われるときは、オゾンの前駆物質が少なく、また水蒸気が豊富であるため、オゾン濃度が低濃度になりやすい。一方、大陸性気団では、オゾンが光化学生成されやすい条件であるため、高濃度になりやすい。さらに、2,3年変動の位相と、気団の出現頻度の長期的な変化の関係について解析を進めている。
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