2004 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸城における水温変動を用いた海洋環境変動予測システムの開発研究
Project/Area Number |
16510007
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤田 伸二 長崎大学, 水産学部, 助教授 (40229000)
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Keywords | 海洋環境の変動 / 多層の水温の連続測定 / 成層状態の消長 / 数値フィルター |
Research Abstract |
沿岸域における海洋環境と変動を示すパラメータの中で,生物の行動に最も影響すると考えられる水温は日射量や海象気象と密接な関係を持っている。そこで,この水温変動が原因の異なる周期成分を持つことに着目し,水温変動の周期性を用いて沿岸域の海洋環境の変動を予測するシステムを開発することを目的として,本年度は,諫早湾湾口部に水温・塩分・濁度・クロロフィル量・日射量及び潮汐流・海面変動を連続測定し,解析を行った。 その中で,表層から一定間隔で多層の水温を連続測定し,水温が持つ長周期成分を数値フィルターで抽出し,この長周期成分を層別に比較すると,海洋構造が成層状態であるか混合状態であるかを示す指標となることが分かってきた。さらに,成層状態の発達は塩分と日射量に関係し,混合状態は一定期間海面を強風が吹くことによって生じることが分かった。特に,各層の湿度差が示す成層状態の消長を指標として用いれば,塩分を直接測定しなくても塩分成層を推定することができる方法であることが分かった。 しかし,冬季においては表層より下層の水温が高いと行った逆転した温度成層が認められた。この現象は塩分成層に起因していると考えられるが,有明海では付着生物の影響で塩分の長期測定は困難であり,付着生物の少ない海域で連続観測を行う必要があると考えられる。 この成層状態の消長を示す指標に関しては,本年5月の日本水産工学会で報告する予定である。さらに,混合状態が生じる要因である海面を吹く風に関しては,有明海の周囲の風を調べた結果,くの字に曲がった地形に沿って風が吹いていることが推察できたので,潮汐の推定値と測定した実際の海面変動を比較し,海面の上昇や下降が風の吹き寄せによることが示唆されたので,現在その手法を確立するため,プログラムの開発を行っている。なお,植物プランクトンの増減と成層状態の消長との関係については,次年度に解析を行う予定であり,現在は観測を中心に行っている。
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