2004 Fiscal Year Annual Research Report
琵琶湖水中有機配位子の同定と物質循環に与える効果に関する研究
Project/Area Number |
16510008
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
丸尾 雅啓 滋賀県立大学, 環境科学部, 助手 (80275156)
|
Keywords | 琵琶湖 / 銅錯化容量 / 吸着ボルタンメトリー / 有機配位子 |
Research Abstract |
前年度カナダにて電気化学分析(吸着ボルタンメトリー)を行い、水中有機配位子の定量を行った結果、銅濃度が高い湖沼でも、それに見合った濃度の配位子が存在することによって、フリー銅イオン濃度は極めて低く抑えられている場合が多く見られた。カナダBC州BurnabyLakeでの測定結果から、銅が140nmol/l存在しても、配位子(安定度定数が10^<12>程度)濃度がその5倍位以上であり、フリー銅イオン濃度は0.2pmol/lと、全く毒性を示さないことが明らかになった。 これと比較すると琵琶湖の銅濃度は20nmol/l以下であり、これに見合う配位子濃度は100nomol/l程度と推定した。サリチルアルドキシムを競争配位子に用い、CSV法によって測定した結果から、銅を120nmol/lになるように添加しても、CSV法にかかるピークが全く見られなかった。資料を希釈して測定を行った結果、水温躍層が発達し始める6月下旬の水温躍層下の場合であるが、安定度定数が10^<14>程度の錯体が300nmol/l程度存在すると見積られた。Lake Greifenの場合、カテコールを競争配位子に用いているが、同程度の安定度定数をもつ配位子の濃度は40-88nmol/lであり、琵琶湖の錯化容量は、他の例と比較しても非常に大きいことがわかった。 溶存有機物濃度と溶存銅濃度の関係について、琵琶湖および流入河川である天野川とその支流で測定を行った。溶存銅濃度が高い地点で溶存銅濃度も高い傾向がみられたが、特に過マンガン酸法COD値と溶存全銅濃度に有意な相関が認められた。このことも、有機物濃度ではなく、その質が金属の溶存に必要であることがしめされた。
|
Research Products
(2 results)