2005 Fiscal Year Annual Research Report
生物多様性を指標とした人工海浜および護岸の環境影響評価と新たな人工海岸創出の検討
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16510031
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
萩野 康則 千葉県立中央博物館, 動物学研究科, 上席研究員 (70250157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 誠 千葉県立中央博物館, 植物学研究科, 上席研究員 (70250149)
宮田 昌彦 千葉県立中央博物館, 植物学研究科, 科長 (10182031)
斉藤 明子 千葉県立中央博物館, 資料館管理研究科, 上席研究員 (90250141)
黒住 耐二 千葉県立中央博物館, 動物学研究科, 上席研究員 (80250140)
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Keywords | 人工海浜 / 植物相 / 植生 / 海浜性昆虫 / 土壌動物 / 貝類 / メイオベントス / 環境影響評価 |
Research Abstract |
今回の研究では、多くの分類研究者により多様な生物群を千葉市の人工海浜で四季を通じた調査を行い、その結果を東京湾の様々な環境と比較することによって、環境を評価することを試みた。人工海浜にも様々な環境が存在し、陸域では植栽やアシ原・海浜草地等の植生が認められた。植栽では、帰化植物が多く、また海側に袖群落やマント群落が欠落しているために、植栽木の枯死が目立った。このように乾燥化するために、昆虫類・土壌動物等も多様性の低いものであった。水分条件が良ければ、造成地でも河口干潟に成立するアシ原が形成され、植栽よりも湿性の環境で、多様性も高かった。ただ、生息する小動物では、やはり移入種が目立った。海岸草地から前面の満潮時汀線は特異な環境を形成し、特に汀線に打ち上げられたアオサは昆虫類やダニ類・イソミミズ等、この部分に特徴的な動物に利用されていた。護岸の岩礁潮間帯では、垂直なコンクリート<テトラポッド<石積の順に多様性が高くなっていた。特に、石積護岸内部の礫・打上物間には、河口域のアシ原にも生息するような絶滅危惧種も認められた。同時に、特徴的な海浜性土壌動物も生息していた。潮間帯の砂泥底では、移入貝類も多くなり、多様性は比較的低かった。これは、河口部と比較して底質中の泥が少ないためと考えられた。 これらのことから、新たに人工海浜を造成する場合には、陸上部では一部でも海風を遮断する植物群落を成立させ、アシ原も潮間帯上部に形成させ、護岸は可能な限り石積とし、浜は泥の堆積しやすい緩やかな傾斜の部分を作り出す必要のあることが重要だと考えられた
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Research Products
(7 results)