2005 Fiscal Year Annual Research Report
ビスフェノールAによる肥満発症のin vitro及びin vivoモデルの確立
Project/Area Number |
16510048
|
Research Institution | Ehime Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
升野 博志 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 助教授 (20116974)
|
Keywords | ビスフェノールA / 妊娠マウス / 肥満 / 脂肪組織重量 / 血中レプチン濃度 / 高脂血症 / 血中コレステロール量 |
Research Abstract |
平成16年度には、ビスフェノールA(BPA)がphosphatidylinositol 3-kinaseを介して3T3-L1脂肪細胞の終末分化を促進することを明らかにした(Toxicological Sciences 84,319-327,2005)。この結果は、BPAが脂肪細胞容量拡大作用を持っていることを示唆している。肥満は、脂肪細胞容量の拡大あるいは脂肪細胞数の増加によって引き起こされる。そこで、本年度は、BPAが実際に肥満を引き起こすかどうかを実験動物を用いて検討した。 妊娠10日目のICRマウスに1μg/ml(低用量群)及び10μg/ml(高用量群)のBPAを含む水を妊娠期間中及び授乳期間中投与した。離乳後は仔マウスに同用量のBPAを含む水を投与した。餌は高脂肪食(30%脂肪-10%蔗糖)を与えた。出生後31日目にエーテル麻酔下で屠殺し、体重、傍子宮(副睾丸)脂肪組織重量及び血中レプチン量を測定した。雌の仔マウスの体重及び脂肪組織重量は、対象群に比べて、低用量群でそれぞれ13%及び132%増加していた。また、高用量群でもそれぞれ11%及び58%増加していた。脂肪組織重量と血中レプチン量は正の相関を示した。一方、雄では体重も脂肪組織重量も低用量群では対象群と有意な差は認められなかったが、高用量群では体重が22%、脂肪組織重量が59%増加していた。しかし、脂肪組織重量と血中レプチン量の間に有意な相関は認められなかった。これらの結果は、雌と雄でBPAに対する感受性の違いは存在するものの、妊娠期間中及び授乳期間中のマウスがBPAに暴露されると、生まれてきた仔マウスは肥満を発症するということを示している。 肥満は高脂血症を引き起こすことが知られているので、仔マウスの血中脂質値の測定も行った。雌の血中のコレステロール(Cho)値は、低用量群で33%、高用量群で17%増加していたが、中性脂肪(TG)値には変化は認められなかった。一方、雄のCho値は、低用量群で24%、高用量群で18%増加していた。さらに、雄では低用量群でTG値に34%の増加が認められた。これらの結果は、妊娠期間中及び授乳期間中のマウスがBPAに暴露されると、生まれてきた仔マウスが高脂血症を発症するということを示している。 以上の結果は、現在投稿中である。
|