2004 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシン類によるレチノイン酸受容体シグナル系の攪乱と毒性発現メカニズムの解明
Project/Area Number |
16510049
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
西村 典子 独立行政法人国立環境研究所, 環境ホルモン・ダイオキシン研究プロジェクト, 主任研究員 (10097800)
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Keywords | ダイオキシン / AhR-欠損マウス / レチノイド代謝 |
Research Abstract |
環境中に広い範囲で残存するダイオキシン類は、免疫機能、生殖機能、ホルモン代謝の異常や催奇性等の生体毒性をもたらす。平成16年度はarylhydrocarbon receptor (AhR)遺伝子欠損マウスおよび野生型マウスに、ダイオキシン類の中で最も毒性の強い2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin (TCDD)を曝露して、新生仔マウスにおけるダイオキシンの毒性発現をレチノイド代謝の攪乱作用に注目して検討した。 (1)雄雌のAhR+/-マウスを交配して、新生仔マウスの遺伝子チェックを行い、実験に必要なマウス数を確保した。(2)妊娠AhR+/-マウス(妊娠12.5日目)にTCDD(10μg TCDD/kg BW)を経口で1回投与を行い、出生後21日目(離乳時)の仔マウスを解剖して、TCDDによる肝臓組織内のビタミンA(レチノール、レチニルパルミチン酸、トータルレチノイド)代謝への影響を検討した。肝臓中のレチノイドを液体高速クロマトグラフィー(HPLC)により定量した結果、AhR+/-マウスにおける肝総レチノイド量は、TCDD投与群ではOil投与コントロール群に比べて約40%の減少が認められたが、AhR-/-マウスでは肝レチノイド量に変化は見られなかった。(3)肝RNAを精製して、ダイオキシン曝露により変動する遺伝子の発現を解析した結果、cytochrome P450 (CYP) 1A1、およびCYP1A2,UDP-glucuronosyltransferase (UGT) 1A6遺伝子のTCDDによる発現誘導が認められた。さらにCYP1A1抗体を用いた肝の免疫組織染色では、TCDD投与AhR+/-マウス肝臓で中心静脈周辺の肝実質細胞にCYP1A1の強い染色性が認められた。本実験結果からTCDDがAhRを介してレチノイド代謝をかく乱することが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)